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あの衝撃的な「宇宙人」の真実…ジョークやネタから生まれるオカルト

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 筆者はオカルト情報を探して海外の情報や報道に目を向けることも多いのだが、記事を翻訳しているとそのニュアンスに悩むことがある。これはジョークや嫌味で書いているのか、リアルな記事として真剣に書いているのか、判断に苦しむことがあるからだ。日本語であれば行間に込められた真意が読み取ることが可能なのだが、外国語ではニュアンスが伝わりづらい。そのため、筆者に限った話ではないが、自国とは別の国のタブロイド紙のジョーク記事や、新聞各社のエイプリルフールの記事を勘違いしてしまい、実際の事件だと思い込んでしまうような事例は多く報告されている。

 例えば、日本でも有名な捕まった宇宙人の写真は、筆者が子供の頃から定番の写真として有名であり、猿の皮を剥いで作ったとか、議論の対象になってきた。だが、実際には1950年4月、ドイツ・ケルン市で創刊されたローカル週刊誌「Neue Illustrierte(ノイエ・イルストリーアテ)」の創刊号を飾ったエイプリルフール記事だったことが近年判明している。読者から反響が大きかったのか、翌週号では悪戯であったことを明かし、火星人着陸は嘘だと謝罪記事を掲載しているのだ。

 そう思ってよく見ると、宇宙人の両手を掴んでいるFBIみたいなおっさんの背後にいるおばさんの足が妙な形で前に出ている。これらは合成した名残であろうか。また、肝心の宇宙人はスケート選手の写真を小さく加工し、補正したものだったようだ。古い雑誌の記事だったこともあり、今まではかなり画質の悪い画像しか出てきていなかったが、近年では鮮明な画像をネットで確認する事ができる。

 同様に世界のタブロイドファンをわくわくさせているのが、「ロシアの声」である。真面目なテイストと見せつつ、とんでもスクープを連発するロシアの東京スポーツなのだ。

 筆者お気に入りのネタは、米国コネチカット州イェール大学の研究者グループが「宇宙人が一億年前の地球の地下に生息していた」という仰天記事だ。いきなりこの記事が構成されたとは思えないと、疑問を感じた筆者は、元ネタを探ってみた。

 すると、元ネタの事件は、米国ワシントン州にある南ロペス島の海底の地下(約20キロメートル)から、約1億年前のものと思われる鉱物・あられ石を発見した。しかも、今回発見されたあられ石に、生物が生命活動することによって作り出された特殊なメタン(特殊な炭素同位体)が含まれていたというものであった。

 この発見は、ごく普通の記事になりうる事実である。一億年前にも生物は活動しているだろうし、生命活動がなされた地表も長年の地殻変動で海底の地下になることはあるだろう。だが、これが「ロシアの声」に掛かると、一億年前に地球の地下に宇宙人がいた?という大ネタになるのだ。いやはや、このボケ倒しには脱帽だ。読者諸兄は「ロシアの声」に、“なんでやねん”とツッコミを入れてあげるべきである。

(山口敏太郎)

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