この騒動では、日本とアメリカの笑いに対する感性の違いも取り沙汰された。アメリカには、一見すると差別的なネタも笑いに盛り込む文化がスタンダップコメディ(一人喋り、漫談)として存在する。一方で、『フルハウス』のようなライトなシチュエーションコメディドラマもある。どちらも日本のお笑いやバラエティ番組とは感覚が異なるものだ。
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そんな日本とアメリカの笑いの違いに挑んだ日本人芸人がいる。
ダウンタウンの松本人志は『進ぬ! 電波少年』(日本テレビ系)で、「松本人志のアメリカ人を笑わしに行こう」という企画に挑戦した。松本の評価では「日本人の笑いが100点だとしたら、アメリカ人は65点」として、コント「サスケ」を現地でのライブで披露し、そこそこにウケた。会場は年齢層や人種などをバラバラに集めたため、やはり万人受けは難しかったのかもしれない。
アメリカで言葉の壁を乗り越えて、英語ライブを成功させた意外な芸人としては陣内智則がいる。陣内は2011年に韓国のソウルで韓国語でライブを行い、続いで2014年にはアメリカのロサンゼルスでの公演を成功させた。英語指導を担当したのはオーストラリア出身の吉本芸人チャド・マレーンだった。
陣内が喋りで勝負した一方で、お笑いの強みである動きの笑いでアメリカ公演を成功させたのが平成ノブシコブシの吉村崇だ。他の吉本芸人2人とユニットを組み、ニューヨークで行われた「バーレスクフェスティバル」にアジア勢として唯一出演した。バーレスクとは、滑稽な踊りのパフォーマンスといった意味を持つ。吉村は赤いふんどし姿で日本をアピールしウケた。
アメリカと日本には笑いの違いがあるのは確かだが、一方で世界共通の要素もあるのかもしれない。