情報公開法に基づいて最近新たに公開された1960年代のCIAの報告書によると、ソビエト連邦は冷戦時代に超感覚的知覚(ESP)やテレパシーなどの形而上学的現象を広く研究し、実用化に向けて動いていたという。
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当時、一般にサイバネティクスと呼ばれるテレパシーを利用して、機械と直接接続できないか大きな関心が集まっていた。その中で、ソ連の科学者D.A.ケルミノフ氏は、ピアニストの中枢神経信号をテープに録音し、ピアノを弾けない別の人の腕に流すという試みをCIAに伝え、話題となったという事例が報告された。
「その人は難しい音楽が弾けるようになり、しかもその技術の一部を永久学習として保持できる」とされている。しかし具体的な内容を聞かれてもケルミノフ氏は有意義なデータを提供できなかったそうだ。
ケルミノフ氏への取材では、他の実験に関する情報も得られた。ワシリエフという人物のケースでは特定の被験者に対し、非常に強いESPを示すことができたが、「波動」を受け取ることができるのは特定の人物だけである、と主張していたそうだ。
ケルミノフが認めたESPの中には、単に出来事を推測するだけでなく、将来のランダムな出来事を予測するものもあったそうだ。実質的な予知能力が備わっていたとみられている。
もちろん、アメリカも同時期に形而上学的現象に関する独自の研究を秘密裏に行い、リモートビューイングを利用してソ連に対しスパイ活動を行っていたという。1970年代から、スタンフォード研究所内で行われていたスターゲイト・プロジェクトがその筆頭だ。
なお、2020年にはCIAが1977年に作成した「ソ連と東ヨーロッパの超心理学」という報告書が公開されている。旧ソ連軍が戦争兵器として利用するために、黒魔術や、電磁波などを用いて人為的に心理を変えるサイコトロニクス装置を研究していたという見解が記されていたことが判明している。
アメリカも旧ソ連も共に、我々がまだ知らない多くの超能力実験に関与していた可能性がある。しかし両国が本当に超能力の再現と確認、実用化に成功したのかについては、まだまだ議論の余地がある。
今回紹介したCIAの報告書はpdfファイルでThe Government Atticに公開されている。気になる人は実際に確かめてはいかがだろうか。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
The Government Atticで公開された資料
https://www.governmentattic.org/44docs/3CIAinfoRptsESP_1964.pdf
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CIA files reveal that the Soviets were developing cybernetic telepathy(unexplained-mysteries.com)より
https://www.unexplained-mysteries.com/news/356697/cia-files-reveal-that-the-soviets-were-developing-cybernetic-telepathy