1986(昭和61)年6月、長野県に住む会社員の男性宅で高校1年生の15歳長女が、次女で中学生の12歳妹の首を絞め殺害する事件があった。
犯人の姉は身長165センチの長身であったが、高校に入る前後から受験ストレスでほとんど食事が取れない拒食症(摂食障害)の症状に悩んでいた。体重は40キロほどしかなく、高校に入学した翌月から病院生活が続いていた。悲劇は、姉が中間試験で一時帰宅していた6月中旬に発生した。
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姉は入院治療に効果があったのか、拒食症の症状が改善し夕食後に妹と談笑するまでになっていた。この時、姉は妹に「退院したら私がクッキーを作ってあげる」と約束した。だが、妹は「クッキーは太るから嫌だ」と返答したという。
この時、姉は「拒食症で虚弱体質の私に比べ、妹は体が丈夫でなんでも食べられるのに。許せない」と妹に対する劣等感と憎しみの気持ちがふつふつと湧いてきたという。
そして深夜、姉は妹の寝室に忍び込み、寝ている妹の首を絞めて殺害。その後は、こっそり家を逃げ出し近所を徘徊していたが、朝8時頃に突然自分の犯した罪が恐ろしくなり自首することに決め、朝8時ごろ、近所の交番に「妹を殺しました」と駆け込んだという。
「クッキーを焼いてあげる」という自分の好意をむげにされた怒りの感情が直接の動機とされたが、受験や高校生活など新生活に慣れずストレスがたまっていたこともあり、衝動的に殺してしまったのではないかとされた。
受験ストレスと、10代の女性に出やすく、発症率が男性の10~20倍とされている拒食症が生んだ悲しい事件であった。