2月28日、矢野阪神が春季キャンプを終えた。内野フィールドに集まって選手会長が挨拶し、一本締めとなるのが球界の恒例だが、阪神はマルテが本塁打を放った時に見せる“ラパンパラ・ポーズ”で締めた。
>>阪神・藤浪、キャンプMVPも期待が持てないワケ 「有意義な時間を過ごせた」調整は順調も危惧される問題とは<<
その様子は各メディアでも伝えられたが、気になるのは、矢野燿大監督の同日の言動だ。
「キャンプ最終日、野手陣は早出をし、自主的に守備練習を行いました。その時、矢野監督がノッカーを買って出たんです」(現地記者)
その時の矢野監督は終始、笑顔。その和やかなムードのまま全体練習に入ったわけだが、“ラパンパラ・ポーズ”後の合同会見ではこんなことを口にしていた。
「ピッチャーの(キャンプ中の)MVPは藤浪。高いところで安定が続いている。去年よりさらに今年いいところにつながっている」
藤浪晋太郎のことをそう称賛していた。前日27日のヤクルトとのオープン戦では2回無失点と結果を出しており、先発ローテーション入りも見えてきた。
その藤浪の名前が挙がったのは当然だが、「もうひと言、欲しかった!」と、矢野監督のキャンプ総括コメントを悔やむ声も聞かれた。
「青柳の名前を出してやればいいのに」(球界関係者)
昨季、最多勝と最高勝率のタイトルを獲得した青柳晃洋は「開幕投手」の最有力候補と目されている。「やりたい気持ちもすごくある」と、本人も開幕投手を意識したコメントも発していた。しかし、打ち上げの日は、指揮官からその名前を聞くことはできなかった。
青柳のモチベーションが下がるようなことにならなければいいのだが…。
「ひょっとしたら、開幕投手は藤浪では?」
矢野監督が「キャンプMVP」を発表した後、そんな声も囁かれている。
「青柳を開幕第2節の広島戦にぶつける策も考えられます。阪神はセンバツ大会で敵地での開幕戦となります。第2節の初戦(3月29日)に投げれば、中6日の感覚で甲子園初戦となる第4節の4月5日に登板できます」(プロ野球解説者)
確かに、本拠地・甲子園球場での初戦マウンドも、“最多勝投手”に相応しい舞台だ。
阪神は伝統球団である。「開幕投手はその年のチームの顔」の雰囲気も強い。藤浪はファンに愛されている投手だが、“タイトルホルダーを押し退けて”というのは考えにくいが…。
「西勇輝の調子が上がってきません。新人の桐敷拓馬(新潟医療福祉大)は期待できそうですが、投手陣全体を見ると、好不調がハッキリ分かれています」(前出・現地記者)
今年の阪神は先発ローテーションメンバーが大きく入れ替わるかもしれない。
キャンプ終了時点では開幕投手は決まっていない雰囲気だった。青柳か、期待を込めて藤浪か。実績十分の秋山拓巳もいる。矢野監督が退任表明の際に言ったとされる「好きなようにやらせてもらう」発言は、開幕投手の選択を指していたのだろうか。(スポーツライター・飯山満)