そんな山本氏は、前回の2019年に出馬した参議院議員選挙では票が「按分(あんぶん)」される経験をしている。按分とは、選挙でその記述から複数の候補者や政党に該当しそうな記載が見られた場合、投票率に応じて配分される票だ。選挙の結果で、小数点以下の得票もあるのはそのためだ。
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山本氏が出馬した選挙では、自民党の比例代表から山田太郎氏も出馬していた。そこで名前の「太郎」と書かれた票はどちらも該当するため、得票率に応じて按分された。山本氏は落選、山田氏は当選している。
さらに静岡県富士宮市では、山田氏に投じられた515票が間違って、山本氏に集計されるトラブルも起こった。同市での山田氏の得票が0票であることに疑問の声が生じ、明らかになった。ほかの自治体でも両氏を混同する間違いが生じている。
名前だけを書いた票が存在するのかと疑問に思う人もいるかもしれないが、投票用紙にフルネームや政党名をきちっと書く人ばかりではない。名字だけ、名前だけ、あるいは略称で書かれるケースも存在する。それでも選挙管理委員会は投票用紙の記載事項から、投票者の意思を最大限に読み取る必要がある。
さらに、同姓同名の人物が同じ選挙に立候補した場合には、候補者の職業や年齢などの情報を名前とともに明記することで分ける。もし氏名のみの票があった場合は、こちらも得票率に応じて按分されることになる。
国政選挙の場合、按分票の影響は相対的に小さいと言える。しかし、小規模な選挙で1票2票が命運を分ける場合、按分票の影響力は大きいと言えるだろう。
衆議院議員選挙の比例代表は、個人名ではなく政党名での投票となるため、山本氏が前回のような騒動に遭遇することはなさそうだ。