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『るろ剣』『キングダム』も担当、裏話も スタントパフォーマーの伊澤彩織が映画主演、女子高生の殺し屋役に「共通点が多かった」

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伊澤彩織

 スタントパフォーマーとして知られる伊澤彩織と女優の高石あかりがW主演を務める映画『ベイビーわるきゅーれ』が、東京・テアトル新宿などで順次公開されている。

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 監督・脚本に阪元裕吾、アクション監督に園村健介を迎えた本作は、女子高生の殺し屋2人組・杉本ちさと(高石)と深川まひろ(伊澤)が主人公。組織に委託され人殺し以外何もやってこなかった彼女たちが、高校卒業を間近に“社会人”として世の中に適合しなければならなくなった。コミュ障のまひろは、そつなく何でもこなすちさとに嫉妬し、2人は険悪ムードに。そんなときでも殺し屋の仕事は忙しく、ヤクザから恨みを買ってしまい……。社会不適合者である2人が、どのように大人へと成長していくのか? 目が離せない作品である。

 主演を務める伊澤は、映画『キングダム』や『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』などで、スタントダブルを担当した現役のスタントパフォーマー。本格的な女優としては、阪元監督の映画『ある用務員』に続いて2作目の出演となる。今回、映画公開を記念して、伊澤にインタビューを実施。バリバリのアクションが詰まった本作の見どころを中心に、じっくり話を聞いた。

ーーまずは脚本を読んでの感想を教えてください。

 今までにない殺し屋の形。2人組の女子が殺し屋で、ぜんぜん社会になじめなくて奮闘する日常を描いたお話だったので、すごく面白いなって思いました。脚本を初めて読んだ時から、まひろとは共通点が多かったんですよ。ちさとを演じたあかりちゃんも「共通点が多い」って言っていたので、私とあかりちゃんのために作られたかのようなキャラ設定とお話で(笑)。すごく親近感を持ってまひろに接することができました。

ーーまひろはどんな人物なんですか?

 RPGゲームの選択肢みたいに、「>たたかう」、「>どうぐ」、「>にげる」を使い分けてる人だなと思いました。すごく純粋だから、自分が少しでも“嫌だな”と思ったことがあれば、すぐに逃げちゃう。まわりからは「努力してない」、「社会に馴染め」と言われても、まひろは自分の感受性を守ることを優先したいんです。いまは、自分の好き嫌いが分からない状態なので、社会に出て、自分の身体で経験する時期というか……。自分のことを知っていく途中の、モラトリアム真っ只中な人物ですね。

ーーW主演となった高石さんの印象を教えてください。

 天真爛漫で、明るくて、瞳の中がきらきらしている。表情が豊かで、隣でずっと行動を見つめたくなる方でした。でも、しっかり者で、役に対しての考え方や作り込みが本当にすごくて。年齢が9歳下なのですが、歳なんて関係なく、大尊敬しています。

ーー現場で印象的だった出来事は?

 ラストバトルの撮影後、私にとってすごい事件が起きて。本作のアクション監督の園村さんが監督をされている『HYDRA(ヒドラ)』というアクション映画があるのですが、その作品の主役が『ベイビーわるきゅーれ』の中で戦うことになる三元雅芸さんという役者さんなんです。『ヒドラ』を映画館で観たとき、スクリーンから目が離せなくて、まばたきもしたくなくて、鳥肌がずっと立っていました。はじめて立ち回りで感動して、いつか私もこんなアクションができるようになりたいと目標にしていました。

 『ヒドラ』と同じアクション監督と俳優さんを目の前にして、『ヒドラ』のアクションを超えられるか、というのが私の中で課題だったんですよ。撮影が終わって、自分の中で“『ヒドラ』超えられたなかったな”って思っていたら、三元さんが「伊澤ちゃんとやれてよかったよ。『ヒドラ』超えたよ」って言ってくださって……。もう(その場で)泣きそうになっちゃって……。「園村さんの作る立ち回りを女性が演じていると、余計に応援したくなる」って三元さんに言ってもらえて、本当に嬉しかったです。

ーーアクションシーンを撮る際は、どんなことを心がけているんですか?

 いろいろあるんですけど、最近やっているのは、立ち回りを忘れることです。戦う相手が今回の撮影以前からアクションをやらせてもらっているスタントの方たちばかりだったので、信頼関係があった上で撮影ができました。アクションは、相手と私がどれだけコミュニケーションが取れているかが重要で、パンチが1センチずれただけで相手が怪我をしてしまう可能性があるんですよ。今回は、事前の練習中にコミュニケーションをとって、しっかり自分の動きと相手の距離感を体に覚えさせていたので、本番は暴れるだけでした。

 今回のアクションは、私が無双しているわけではなく、対複数男性や強い男性相手に身長159センチの女性がどうやって戦うのか? というところに重きを置いて園村さんが立ち回りを作ってくれました。なので、きれいには戦ってないんですね。自分の体重を乗せたり、相手の身長差を使って、がむしゃらに、とにかくギリギリ感を出さなきゃいけなかった。信頼できる相手と安心して取り組める分、本番は立ち回りを思いっきり忘れて、怪我をしないギリギリまで攻めさせてもらいました。

ーーこれまでスタントパフォーマーとして数多くの活動をされてきていますが、過酷だった現場は?

 私の中で、過酷は2パターンあって。その1つが、本当は夜に終わるはずだったけど朝から朝までアクションしている現場(笑)。アクションって時間との勝負で、どれだけ完璧なテイクを出せるのか、何回撮れるのか、妥協点を含めてアクションを進めていかなきゃいけないので、時間はあればあるほどいいんですけど、日本の現場は何時まで撮るか教えてくれないんですよね。体力も消耗してくるので、“朝から朝まで”は流石につらくなってきます(笑)。

 もう1つは、天気です。夏になるとみんな真っ黒に日焼けしながらやっていて、食欲もないけど、汗だくで動かなきゃいけない。逆に鞄が凍るほど寒い現場でアクションをしなきゃいけないこともあります。睡眠と天気に関しては、怪我などのリスクも伴うことがありますね。

ーー伊澤さんが参加された映画『るろうに剣心 最終章~』では、佐藤健さんや新田真剣佑さん自ら素晴らしいアクションをされていました。近年、俳優のアクションレベルは向上していると思いますか?

 最近アクション作品が増えてきて、アクションスタッフも人手不足と言われているくらい現場が多い分、アクションする俳優さんも増えています。時間をかけてアクションに対する比重を大きくしてくれる現場であればあるほどアクションの精度が高くなるんですよ。アクションってクランクイン前にどれだけ練習できるかが勝負で、『るろうに』に関しては、アクション部が動きはじめたのが、クランクインの約4カ月前。その間に、アクションを作って、アイデア出しをしつつ、役者さんとトレーニングをしているんですね。本番までに20回以上練習している役者さんもいるんですよ。『るろうに』には、綿密にアクションと向き合える仕組みがあったからこそ、役者さんのアクションレベルもすごく高いし、あれだけすごいアクションシーンを撮影できるのだと思います。

ーーいろいろなお話ありがとうございました。最後に『ベイビーわるきゅーれ』の見どころをお願いします。

 いまは、「何かしなきゃいけない」、「自分が何者なのかをハッキリさせなきゃいけない」という風潮があると思うのですが、何もなくても生活はできるし、平凡な日常の中に尊い瞬間がある。『ベイビーわるきゅーれ』は、そんな日常に寄り添った物語なので、映画を見てくれた方自身がちさととまひろとの共通点を見つけられる映画だと思っています。何でもない日常を楽しんでもらえたらうれしいです。

(取材・文:浜瀬将樹)

映画『ベイビーわるきゅーれ』
公開日:全国順次公開中
監督・脚本:阪元裕吾
アクション監督:園村健介
出演:高石あかり、伊澤彩織ほか
※高石あかりの「高」ははしごだか

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