数年前、美容専門学校に通っていた頃のことです。その専門学校は女子しかおらず、頻繁に他校との合コンが開催されていました。わたしは合コンが苦手でしたが、あまりに出会いがないので、たまに顔を出していました。彼と出会ったのはそんなある日の合コンです。
その日の合コンは、いわゆる「当たり回」。イケメン高学歴が多く、友達もいつもよりテンションが高かったのを覚えています。わたしは奥手なので聞き役に徹していましたが、それを察してたくさん話を振ってくれたのが目の前にいた彼です。それがきっかけで、合コンが終わった後も2人で会うことが増え、すぐに彼との交際が始まりました。
彼とは週1くらいでデートしていましたが、いつもなぜか他県や遠い所へのドライブ。理由を聞くと、彼は恥ずかしがり屋だから、友達に彼女といるところを見られたくないのだと話していました。ドライブ自体は好きだったので私も特に気にしていませんでした。
しかし、いつものようにドライブデートをしていたある日、車のドアポケットのところに女の人の手鏡が入っているのを見つけてしまいました。彼に聞くと、彼の顔は急に青ざめ、「ごめんなさい」と連発。とにかく落ち着かせて話を聞くと、なんと他に彼女が3人もいると打ち明けてきたのです。つまり四股です。デートが遠出でドライブばかりなのも鉢合わせしないためなのだと合点しました。
中・高と彼女がいたことがなく、それを友人にからかわれたことがコンプレックスで、人数稼ぎで同時に複数の人と付き合ったのだと話す彼は、なんだかみじめで、怒りすら湧いてきませんでした。もちろんすぐにお別れしましたが、今でも彼の最後の情けない背中が目に浮かびます。
写真・Brennan Degan