北陸遠征(対DeNA/6月22日~)から左太股を故障していた梶谷隆幸外野手が復帰する話はすでに伝えられていた。一発の脅威を持つスモーク選手が退団し、実績十分の梶谷が戻ってくることはプラス材料だが、今回の遠征の主役となりそうなのは、山口の方だろう。
「一軍合流までさほど時間は掛からない」とは伝えられていた。しかし、二軍での調整登板もなく、いきなり公式戦で先発登板するとは予想できなかった。遠征2戦目の23日の先発が予定されているという。
「帰国後の隔離期間があり、チームに合流できたのが、今月20日。二軍の若手相手にシート打撃登板しただけ。帰国直前までマイナーリーグで投げていましたが」(スポーツ紙記者)
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シート打撃後の共同会見で、山口は「打者と対戦していくうちに上がってくればいいかな」と話していた。何が上がってくればと言えば、「状態、実戦感覚」のこと。
このコメントを聞く限り、実戦登板できる状態にはないと思われたが…。
「20日までの阪神3連戦に勝ち越すことができました。この遠征に勝ち越せば、首位阪神を追いかけるムードも一気に高まるのですが」(プロ野球解説者)
北陸遠征の重要性を指摘する声は多く聞かれた。「いきなりの実戦登板」となれば“リスク”も大きい。
「山口に活躍してもらわなければ、逆転優勝は難しいでしょう。緊張感のある一軍で調整させるつもりでは?」(前出・同)
遠征第2戦を落としてもいいという意味ではない。二軍で調整させる余裕がなかったのだろう。また、プロ野球12球団はこの夏、新たな調整期間を得ることに変更した。五輪期間中に“特別興行”を行うという。
「当初はペナントレースを中断させるつもりでいましたが、約1カ月間もペナントレースを中断させたら実戦感覚が鈍ってしまうとのことで、各球団とも10試合程度ですが、有観客で試合を行うことになりました。同一リーグとは試合をしない、勝敗、個人成績はペナントレースにカウントしないということで」(球界関係者)
この夏季興行の中で、山口はさらに実戦感覚を取り戻していくことができそうだ。
こんな見方もできる。山口が23日に先発し、通常ローテーション通りに調整した場合、次回登板は6月29日からの広島3連戦(東京ドーム)で、次々回は7月9日からの阪神3連戦(甲子園)が予想される。先の阪神戦に勝ち越したとは言え、まだ6ゲーム差も開いており、これを縮めるには直接対決で勝つしかない。
山口をこの北陸遠征でいきなり先発させる目的は、球宴前の最後の首位攻防戦も見据えてのことではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)