「カメ止め」は、上田慎一郎監督の劇場長編デビュー作として、もともと都内2館での公開からスタートしたが、SNSなどで話題となり公開劇場も全国へと拡大。予算300万円のインディーズ作品にもかかわらず、最終的に公開館数が350館以上、動員数は220万人を超え、興行収入は31億円を突破する異例の大ヒット作となった。
国内のみでなく、海外でも「ONE CUT OF THE DEAD」というタイトルで上映。フランスでは、同国最大の日本映画祭「KINOTAYO(キノタヨ)現代日本映画祭」でオープニング作品として上映され、観客投票で決まる最高賞「ソレイユ・ドール」を受賞。19年3月からは劇場公開もされ話題となるほどの人気ぶりだった。
各メディアによると、今回メガホンを取るのは、白黒のサイレント作品「アーティスト」などで知られるミシェル・アザナヴィシウス監督。同作は12年の「第84回アカデミー賞」の作品賞、監督賞など5部門を獲得している。
フランス版は「Final Cut」のタイトルで、出演者も「真夜中のピアニスト」などで知られる俳優のロマン・デュリスや、「アーティスト」にも出演していた女優ベレニス・ベジョら人気俳優が名を連ね、日本公開は2022年を予定しているという。
>>大ヒット『カメ止め』監督の最新作、予想通り惨敗? それを超えたインパクト大の作品<<
昨秋にこの話を聞いたという上田監督は、「フランスの地で、フランスの方々によって創られる事でどう生まれ変わるのか?今から楽しみでなりません」とコメントを寄せているのだが…。
「低予算でまるで映画サークルが作ったようなバタバタ感が画面からにじみ出て、無名の俳優ばかりだが観客が感情移入できるキャラばかりだったから『カメ止め』はヒット作となった。それに対して、フランス版は一流の監督に役者陣、潤沢な製作費の豪華版。『カメ止め』とはまったく違った作品になりそうで、日本の『カメ止め』ファンの支持を得られるとは思えない」(映画業界関係者)
とはいえ、日本で受ける要素を盛り込むような忖度があるとは思えない。