ただ、大ヒット作の次作というのは、期待値が大きい分、不安要素もある。ネット上では「面白くてもつまんなく見えちゃいそう」「今作はまさに正念場では」といった声が聞こえる。
『カメラを止めるな!』は2017年に公開されると、口コミで火が付き始め、製作予算300万円のインディーズ映画ながら、2018年の邦画興行収入で7位を記録する大ヒット映画となった。興行収入は約31億円といわれる。さらに、2019年3月には『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)でもオンエアされた。映画のワンカットシーンを生かすため、冒頭の約40分は異例のCMなしでオンエアされた。
まさに、あらゆる話題を席巻した「カメ止め」であるが、その後には暗雲も立ち込めつつある。顕著なのは役者陣だろう。もともと作品の評価自体にも、演技力不足を指摘する声も見られた。
「カメ止め」は演劇学校の卒業制作として作られ、役者は演技経験がほとんどないか、アマチュアの小劇団で活躍してきた人物が多い。
主人公の映画監督を演じた濱津隆之は、映画公開まで演技経験はほとんどなかった。そのため自身の素の部分から演技を引き出したようだ。狂気の演技が話題となるも「単なるキレ芸」「セリフ棒読み」といった指摘もある。その後は『ミラー・ツインズ』(フジテレビ系)、『都立水商! 〜令和〜』(TBS系)などいくつかのテレビドラマに出演し、早くながら存在感は発揮するも、演技力については不評の声が多い。やはり「カメ止めの監督役」のように勢いだけでは多様な役をこなせないようだ。
ヒロインの真魚は、各社の争奪戦の末、ワタナベエンターテインメント所属となった。だがいまだ演技力の浅さは否めない。もっとも彼女の場合は、まだ若さがあるためこれからに期待といったところであろう。AbemaTVでオンエアされた「カメ止め」のスピンオフドラマでは主人公を演じている。
竹原芳子ことどんぐりも、個性的なルックスで各種ドラマや映画に積極的に出演しているが、セリフ棒読みや見た目のインパクトが先行し、演技力不足が指摘されている。むしろ『踊る! さんま御殿!!』『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)などに出演しているため芸人として活躍の余地があるかもしれない。
アマチュアの作品として大ヒットを飛ばしても、これからプロのレベルで通用するかは未知数というのが、「カメ止め」関係者を巡る実情だろう。