犬をも振り切ったとの逸話を持つほどの俊足が持ち味の神里だけに、リードオフマンなど上位打線を任されることが多かったが、三浦監督は6日のドラゴンズ戦から6番で起用。それが見事にハマり、初戦は天敵・大野雄大からグランドスラムで撃破すると、7日も猛打賞と気を吐いている。
昨年は梶谷隆幸がガッチリと手に入れていた1番センターの座だったが、ジャイアンツへのFA移籍によりチーム内の争いが激化。最右翼と見られていた神里本人も「奪いたい気持ちしかない。何としてもレギュラーでやらないといけない。やるしかないと思っています」とキャンプ前から気持ちを前面に出していた。しかし、春季キャンプは二軍スタートだった桑原将志が、オープン戦から猛アピールに成功し1番センターを奪取。神里はベンチスタートとなってしまった。
状況が変わったのは4日のカープ戦。未だ勝利のなかったチームの起爆剤としての期待を背負い、1番センターとしてスタメン起用。3回には右中間に先制ソロホームランを放ち、守備でもダイビングキャッチでチームを鼓舞し、お立ち台に上がる活躍で勝利に貢献した。
すると、名古屋でのドラゴンズ戦からはクリーンアップ後の6番に座り、2試合で8打数5安打と大活躍。好調の上位打線、不動の4、5番・佐野恵太&宮崎敏郎の後のランナーの溜まる可能性の高く、ポイントゲットの重要な打順で見事に機能している。
外国人選手の合流が遅れ、開幕から苦戦を強いられているベイスターズだが、昨年まで日の目を見なかった関根大気、人的補償加入の田中俊太、驚異のルーキー・牧秀悟らの奮闘もあり、図らずともチームのオプションは増している。誰もが認めるポテンシャルを誇る神里も、固定概念に囚われない三浦監督の手腕の元で、様々な才能が開花しそうな予感がする。
写真・ 取材・文/ 萩原孝弘