「3点リードで迎えた8回表に左腕・石田健大を投入し、逃げ切りを図りました。その石田が打ち込まれ、3戦連続での失点となりました」(スポーツ紙記者)
石田は昨季、50試合に登板して25ホールドをマークしている。「勝ち試合で使う投手」と位置づけられているが、まだ本調子にはなっていない。
「石田に早く立ち直ってほしいから、そのきっかけとなる登板機会を与えたのだと思います」
三浦監督を現役時代から知るプロ野球解説者がそう語っていた。
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「あえて石田を投げさせた」のだとすれば、三浦監督は、クローザーに繋ぐ7回と8回を重要視していることが分かる。
7、8回を託すセットアッパーの投手について、思い当たるものがある。今季のペナントレースが開幕する直前、各球場でこんな声が多く聞かれた。「今季は引き分け試合が増えるそう」――。
新型コロナウイルス禍で、今季は9回打ち切りの特別ルールで行われる。その特別ルールが引き分けの試合数を増やし、さらに、強いチームとそうではないチームの差が大きく開いてしまうと危惧されていたのだ。
「例えば、同点のまま8、9回の攻防に入ったら、監督は延長戦を意識します。延長戦で投げてもらうリリーフ投手を残しておかなければなりません。でも、今季はそんなやり繰りは心配しなくていいので、どんどんリリーフ投手を投入できますし、8、9回を投げるセットアッパーが好調なら、投手継投策で引き分けに持ち込むことができます」(前出・同)
見方を変えれば、セットアッパーが本調子ではないことがDeNAの連敗スタートの要因と言えそうだ。
また、選手層の厚いチームはリリーバーの大量投入だけではなく、代打攻勢も仕掛けていける。強いチームとそうではないチームのゲーム差が「大きく開く」と予想される理由は、そこにある。
「もうしばらくの間は、我慢して不振投手も使っていくつもり。でも、先発投手から山崎につなぎ、その山崎に2イニングを投げさせ、クローザーの三嶋につなぐ継投策も囁かれています」(前出・スポーツ紙記者)
山崎、三嶋の新旧クローザーがフル回転すれば、チームの雰囲気も好転するだろう。
三浦監督は「自分の継投ミス」と言い、同日の逆転負けの敗因を全てかぶったが、こんな話も聞かれた。
「現役時代から『打たれても下を向かない』が信条でした。でも、球場と自宅を往復するクルマの中では一人になれるので、その中でストレスを発散させているそうです」(球界関係者)
大音量のBGMをかけ、歌いまくるそうだ。当然、クルマの窓は閉め切られているから外には漏れない。逆転負けを喫した30日、“大音量”は確認できなかったが、リリーフ陣の調子が上がってくるまでの間、クルマの窓は閉め切ったままとなりそうだ。(スポーツライター・飯山満)