地元警察に通報が入ったのは、同日午前3時30分過ぎ。2階で就寝中だったAさんの妻が物音に気付き1階に下りたところ、、血まみれになって倒れているAさんを発見し110番した。その後、警察官が現場に駆け付けた時には。Aさんは既に息を引き取っていたそうだ。司法解剖の結果、Aさんの死因は出血性ショック死であることが判明した。Aさんの体には数十か所もの傷が残されており、右胸には致命傷となった深さ10センチにも及ぶ刺し傷が残されていた。
Aさんは、会社に出勤する時間帯が午前4時から5時ごろだったといい、リビングに照明が点いていたことからも、出勤前に犯人と鉢合わせになった可能性が高い。また、Aさんの腕には身を守る際に付く防御創が残されていた。
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Aさん一家は、当時35歳の妻、当時13歳の長女、そして当時10歳の次女の4人暮らし。そのうち、犯人の姿を確認したのは長女一人だけだった。長女によると、2階の自室で就寝中にベッドに近づいてきた犯人に気が付いて悲鳴を上げたところ、「静かにしろ」と言われ左頬を殴られたという。そして、犯人に粘着テープで手足を縛られ、「静かにしろ、お前に用はない」「何歳だ?」など、いくつか会話を交わしたそうだ。ほどなくして、犯人は部屋から出ていき、それを見計らって長女は自力で粘着テープを解いた。そして、別室で就寝中の母親の元に行き、知らせたという。長女は捜査本部の事情聴取で犯人について、「知らない人だった」と答えている。
一体、犯人は何者だったのか。現場となった自宅からはAさんの財布がなくなっていた。このため、金品目的の窃盗犯の疑いも持たれたが、その他タンスや妻のバッグなどを荒らした形跡は見つかっていない。Aさんに対する怨恨による犯行も考えられたが、その場合、殺害後にわざわざ2階に上がり長女を縛った理由が不明だった。結局、犯人は財布以外は盗らずに玄関から逃走している。
現場からは犯人に繋がる手掛かりがほとんど見つからなかったが、侵入経路は独特な手法が用いられていたという。1階和室の窓が「焼き破り」という方法で割られていたというのだ。これは火力が強いターボライターなどでガラスの一部を熱してから割るという手口。音を立てずに侵入できるため、空き巣犯の間で度々用いられているそうだ。
事件当日は台風により大荒れの天気だったという。空き巣の常習犯がたまたまAさん宅に目をつけ、不運なことに鉢合わせてしまった末の殺害だったのだろうか。