入江は先発ローテーションピッチャーとして、牧はファースト若しくはセカンドでスタートメンバーとして期待されており、池谷には中継ぎとしてフル回転が期待される。
今シーズンのベイスターズは、外国人選手の合流が現時点では未定の緊急事態。近年、ワンポイントから回跨ぎ、セットアッパーなど、どんな場面でも投げ続けたエドウィン・エスコバーも不在。8回を石田健大に任せるとなると、ブルペンには左腕が砂田毅樹と、池谷しかいないことになる。ファームを見渡しても、坂本裕哉と櫻井周斗は先発としての調整を続け、トミージョン手術から復帰をめざす田中健二朗は、もう少し時間がかかりそうな状況。松本隆之介(ドラフト3位)と高田琢登(同6位)は高卒ルーキーで、しばらくは育成期間と考えると、池谷にかかる期待は、否が応でも大きくなる。
池谷は出陣式で「一軍に選出して頂き少し緊張していますが、地に足着けて頑張っていきたい。ベイスターズ日本一に向けて少しでも戦力になれるように、中継ぎとして仕事を全うしていきたい」とファンに向けて宣言。ハマスタに期待を込めた大きな拍手が響いた。
大きく振りかぶり、ややトルネード気味に腰をツイストしながら肘をたたみ、腕を身体に隠すようなユニークなフォームは「誰かに教わったものではなく、投げやすさを追求した」という完全オリジナル。そこから繰り出される「自分の持ち味である強く、切れのあるストレート」とスライダー、チェンジアップを武器に、オープン戦では計4試合で5イニング1失点。回跨ぎも経験し、地元静岡での凱旋登板も果たしつつ、見事に結果も残した池谷蒼大。静岡県屈指の名門校、文武両道の静岡高校卒のクレバーさも兼ね備えるルーキーは、一年目からベイスターズプルペン陣の窮地を救う存在となる。
取材・文・写真 / 萩原孝弘