エンゼルスの大谷翔平選手がホワイトソックスとのオープン戦に「2番・DH」で先発出場し、3打数2安打と好スタートを切った(日本時間/3月2日)。試合後、日本人メディア向けに行われたオンライン会見に臨み、「打席での迷いがないように見えたが?」の問いに、
「(バットを)構える前からいい角度で投手が見えている。踏み込んでもいい角度で見えているので」
と、笑みを浮かべながら答えていた。
このコメントは意味が深い。「いい角度で相手投手が見えている」の表現は大谷の感性だが、構える前、踏み込んでスイングする時も自身が打ちやすいとする角度で見えていたということは、しっかりと準備ができていたのだろう。
「大谷と対戦したホワイトソックスの投手? この時期は主力級の投手は試合に出てきません」(スポーツ紙記者)
対戦が初めてかどうかは定かではないが、“無名投手”が出てくると、その持ち球が分からず、苦戦することも多い。一流の主力バッターでも、だ。
大谷が“初見投手”にもしっかり対応できたのは、ルール改定も影響していた。
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「大谷には野手で出場している時、必ず行うルーティンがありました。昨季はそれが禁止され、彼の打撃不振の一因になったのではないかとも指摘されています」(米国人ライター)
どの球場にも「ビデオルーム」がある。
試合前、その部屋に行けば、対戦チームの先発投手の映像が見られる。また、試合中も“リアルタイムでの映像確認”ができるという。例えば、三振を喫し、ベンチに戻るその足でビデオルームに行き、「今の映像を見せてくれ」とスタッフに指示すれば、即座に対応してくれる。「野手・大谷」は指名打者で出場しているので、試合前と第一打席が終わった後、ビデオルームで対戦投手の投じた変化球、自身の打撃フォームを入念にチェックしていた。
「大谷は試合前に準備し、試合中も打撃フォームにおかしなところがあれば修正していました。対戦投手の映像も確認し、次打席に備えていました。昨季のメジャー全体の平均打率は2割4分5厘でした。2割4分台は歴史的な低数字です。2割4分台は1972年以来と報じられました」(前出・同)
その歴史的な低数字を回復させるため、「ビデオルームは3密になるからダメだけど、タブレットは認める」と、ルール改定されたのだ。
日本人メディアに提供された同日の試合映像では、大谷がタブレットを覗き込むシーンは見られなかった。しかし、コーチや他選手と身振りを加えながら会話をする場面もあり、打撃に関するやり取りがされていたようだった。映像での確認が全てではないが、凡打を喫した投手との次打席において、何かしらの対策を講じることができ、精神的にもラクになるはず。
投球練習でも、「飛ばしすぎ」と首脳陣がブレーキを掛けるほど好調だという。今季は、二刀流の完全復活となりそうだ。(スポーツライター・飯山満)