「大谷自身、今年にかける意気込みはかなり強く、首脳陣も昨年以上に『投手復活』をサポートしていくつもり」(現地記者)
大谷と首脳陣、球団との絆はさらに深まったようだ。
そのきっかけは、直接対決の寸前まで行った「年俸調停」だった。
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大谷は「25歳未満、プロ経験5年以下の海外選手と契約する場合は上限を課す」という労使協定によって、これまでは年俸を抑えられてきた。だが、2020年シーズン終了と同時に、「年俸(評価)が正当か否か」を第三者に仰ぐことのできる年俸調停権を得た。そのため、20-21年オフの契約更改が「真の二刀流の評価となる」と注目されていた。
「大谷の代理人が330万ドル(約3億4700万円)を希望し、球団側は250万ドル(約2億6300万円)の年俸額を提示しました。80万ドルもの開きがありました」(米国人ライター)
この年俸問題は、球団側が折れて「2年総額850万ドル(約8億9250万円)」で合意に達したのは既報通り。一時期は「調停委員会に持ち込まれるのは必至」と見られていたが、球団側が折れたのは“大谷の決意”を知ったからだった。
「球団が控え目な年俸額を提示した理由は、いくつかありました。最大の理由は、20年シーズンは投手復活に失敗したからです。『打者・大谷』のみで評価しました。それに対し、代理人は二刀流の希少価値を訴えました」(前出・同)
過去、希望額に届かないとし、年俸調停に持ち込んだ選手は少なくない。調停委員会のルールにより、選手本人も球団スタッフと対面することになっている。そのため、双方ともエキサイトしてしまう。選手側がたとえ希望額を勝ち取ったとしても「わだかまり」が生まれ、居心地が悪くなってのちに退団するケースも多いそうだ。
「エンゼルス側から歩み寄りを見せたのは、ちょっと驚きでした」(前出・同)
調停委員会の日程も、2月19日と決まっていた。その間、何度か意見交換があり、エンゼルスは「大谷の決意」を知ったのだ。
「ピッチャーも、バッターも両方続けたい、と。二刀流で復活できなければ、野球を辞めるとまで伝えたそうです」(関係者)
当然、二刀流に懸けるその思いは、現場を預かるマドン監督にも伝えられている。マドン監督も「復活のため、協力したい」との気持ちをさらに強く持ったわけだ。
「投手としての練習終了後、捕手陣の打撃練習にも参加していました。大谷は右足を上げる新フォームをテストしていました」(前出・現地記者)
渡米後、メジャー投手の速球に対応するため、摺り足打法に代えている。足を上げる日本ハム時代のフォームに戻すか、摺り足式を継続するかは今後の判断だが、昨季の打撃不振が相当悔しかったのだろう。大谷がスプリングキャンプで掲げているものは、投手復活だけではないようだ。(スポーツライター・飯山満)