豊洲市場は主に水産物を扱う。渡部と言えば、グルメタレントで名前を売っていただけに、ネット上では「これも仕事の一環」「豊洲に精通した男として復帰?」といった声が聞かれた。
豊洲市場は、2018年に築地市場から移転し開場。築地では渡部に同じく、芸能人が働いていた。2011年に亡くなった落語家の立川談志さんの弟子たちは、築地市場の知り合いの店で一定期間働かされていた。
立川談春は、談志さんから「弟子を続けたかったら、築地で1年間働いてこい」と命ぜられるまま、場外のシウマイ店で働いていた。その様子は自伝的エッセイ『赤めだか』(扶桑社文庫)に詳しい。本作は2015年にスペシャルドラマとしてTBS系で放送され、談志さんはビートたけし、談春を嵐の二宮和也が演じた。
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ただ、すべての弟子が築地“修行”に出されていたわけではない。談春の後に入門した弟弟子の立川志らくは、築地行きをあっさりと断った。普通に考えるならば、談志さんの怒りを買いそうなものだ。実際、破門を言い渡されるが、「クビもイヤです」と拒否したところ、「じゃあ、いいから。両方嫌ならいなよ」と言われ、なぜだか気に入られたという。
志らくはこのエピソードについて、『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ系)にゲスト出演時、「朝、うんと早く起きるのがイヤだっていうのがあった」と振り返り、「その罰で今、うんと早く起きなきゃいけないんで」と朝の帯ワイドショー番組『グッとラック!』(TBS系)に絡めてコメントしている。
談志さんが弟子たちに築地行きを命じたのは、築地の労働者たちの声づかいなどを落語に取り入れるための人間観察の目的があったようだ。ただ、早朝の過酷な労働は精神修行の部分も多分に大きかっただろう。この点は、現在の渡部の境遇に通ずるものがあるかもしれない。