東京ヤクルトスワローズが前福岡ソフトバンクホークスのリック・バンデンハーク投手の獲得を狙っている。というか、関係者の話を総合すると、すでに交渉を開始しており、球団サイドも手応えを感じているそうだ。
「昨季のバンデンハークは2勝しか挙げていません。近年は外国人選手枠の問題や故障で登板機会も減っていて、ソフトバンクも契約を更新しませんでした」(スポーツ紙記者)
ヤクルトは、補強費がたっぷりあるというイメージではないのだが…。
今季は前アストロズのサイスニード投手を始め、正三塁手候補として前パイレーツのホセ・オスナ、前インディアンスのドミンゴ・サンタナ外野手と3人の新外国人選手を獲得。アルバート・スアレス、スコット・マクガフの両投手も残留させており、「助っ人5人体制」となっている。
また、忘れてはならないのが、山田哲人内野手、小川泰弘投手のFA慰留にもそれなりの出費が掛かったこと。現在、支配下登録選手65人の総年俸は27億9800万円(推定)。前年比104%。つまり、コロナ不況下であっても、最下位脱出のため、「出費も止むなし」と判断したのである。
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昨季のバンデンハークの推定年俸は3億円。さらに新外国人投手を獲得するとなれば、経営的には大打撃だ。
「新型コロナウイルスの影響で外国人の入国が制限されています。どの球団もそうですが、新たにNPB入りする外国人選手は『開幕戦に間に合わない』と予想しています。でも、新外国人選手と契約時は、新型コロナウイルスによる2度目の緊急事態宣言で入国の目処も立たないとまでは予想できませんでした。ヤクルト首脳陣は、『一軍戦で使うこと』を前提にサイスニードたちと契約したので、その影響が大きい」(プロ野球解説者)
他球団は来日が遅れている外国人選手の代役を新人選手などで補う予定だ。ヤクルトのドラフト1位・木澤尚文投手(慶大)も評判が良い。
しかし、こちらもチーム事情でフル回転とは行かないようだ。
「新人投手が故障する傾向があります。もちろん、高津臣吾監督の計算に入っていますが、無理はさせられません」(前出・同)
予想される先発ローテーションは、小川、石川、サイスニード、スアレス、マクガフ、高梨、高橋、木澤、2年目の奥川。サイスニードが来日遅延で、石川は41歳。小川は昨季2ケタ勝利数を挙げたが、規定投球回数には到達していない。奥川、木澤は“未知数”だ。バンデンハークの獲得は“新人酷使”を防ぐ意味合いもあるようだ。
OB・古田敦也氏の臨時コーチで、春季キャンプは活気づいていた。特に、古田氏がブルペン入りした時は盛り上がっていたが、高津監督の胸中は複雑だったようである。(スポーツライター・飯山満)