特に上岡と島田紳助が担当する火曜日は、テレビの概念を変える実験企画が多数放送され話題を呼んだ。現在も日本テレビ局内で伝説として語り継がれている企画も数多い。
なかでも大きな話題を呼んだのが、1990年4月に上岡・島田が「EXテレビを視聴されているみなさま。ご覧のチャンネルを1分間だけNHK教育テレビに変えてください」と視聴者に呼び掛けた「視聴率ゲリラ事件」だ。
これは、番組の人気を測る「視聴率」に懐疑的だった上岡と島田が、視聴率を計測する機械を置くサンプル世帯を中心に視聴率を操作するよう協力を訴えた実験で『EXテレビ』のラスト1分間を使って行われた。
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すると、2人の思惑通り関西地区ではそれまで0%に近かったNHK教育テレビの視聴率が2%まで上昇し、代わりに関西の読売テレビでは10%の視聴率が2ポイント下がって8%になったのだ。
2ポイントの視聴率変動は何か大きな出来事がなければ発生しないため、視聴率を集計するビデオ・リサーチ社やエーシーニールセン社などは大きな騒ぎになったという。
その後、視聴率を計測する会社からは「テレビの悪ふざけで視聴率を操作するような行動を取られては正確な計測ができなくなる」と苦情が出たというが、『EXテレビ』のプロデューサーも上岡、島田に負けず劣らずの豪気な人物だったようで「当たりさわりない企画では今の視聴者は納得しない」「テレビを良い方向に変えるような実験をしたつもりだ」と言って苦情を押しのけたという。
本事件は、ハプニング(思いがけない出来事)というよりも明確な意図を持って実行した実験という側面が強く、1990年代のテレビ界に一石を投じた事件だったと言えよう。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)