毎年ルーキー達は、生活必需品の他に“お気に入り”や“こだわり”の品を持参して入寮する。今年も自己紹介も兼ねて様々な品々を公開し、例年通りそれに対しての思いも語ってくれた。今回は高卒4名のルーキー達のエピソードを紹介したい。
真面目な一面を見せたのが、地元横浜出身の2人。ドラフト3位指名の松本隆之介(横浜高校)は、長年横浜高校硬式野球部の監督として活躍した渡辺元智氏から贈られた「目標がその日その日を支配する」と記された色紙を持参。「コロナで甲子園が中止になった時に頂いた。プロの世界でも念頭に置いて頑張る」と気を引き締めていた。
育成ドラフト2位指名の加藤大(横浜隼人高校)は、松下幸之助著の「道をひらく」を持参。「高校3年生のホームルームで読んだ。人生の志が書いてあって、内容も深く考えた」とパナソニック創設者の思想を学んだ。中でも「真剣勝負という言葉を大事にしています。(本では)剣道の話なんですが、野球に置き換えても人生に置き換えても、真剣勝負は大事」と、目を輝かせていた。
4位指名の小深田大地(履正社高校)は1級上で昨年タイガースに指名された井上広大から贈られたバットを持参。「入寮に何か持って行かなきゃと話していたら、“これ持っていけ”と」言われたそう。自分の使っているものより「1センチ長く、グリップも違う」が、「練習で使っていきたい」と試してみると語った。「仲良くさせて頂いた井上さんに、早く追いつけるように」と目標を定めていた。
今回もっともユニークだったのが、6位指名の高田琢登(静岡商業高校)が持参した「みかん10個」。「みかん畑を持っているおばあちゃんが作ってくれている。これをよく食べて今まで育ってきた」と力の源だと強調。「荷物が多くてあまり持って来られなかったが、なくなったら送ってくれるように頼む」と、みかん好きの静岡っ子は「地元の方に応援してもらって愛されるように、身体作りやトレーニングをやっていきたい」と、甘いみかんで栄養補給してコンディションを整えていく。
まだ真新しいファーム施設「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」で、金曜日から新人合同トレーニングに挑むルーキーたち。それぞれ思いのこもった品と共に、プロへの第一歩を踏み出す。
取材・文 / 萩原孝弘
写真提供 / 横浜DeNAベイスターズ