第3試合では、IWGP USヘビー級王座挑戦権利証争奪戦、権利証保持者KENTAに小島聡が挑戦した。当初はジュース・ロビンソンが挑戦する予定だったが、負傷により小島が名乗りあげた。試合前には、来日が途絶えているIWGP USヘビー級チャンピオン、ジョン・モクスリーからのビデオメッセージが流され、新日本マットに必ず帰ってくると約束。場内からは大きな拍手が起こった。
小島のセコンドには相方の天山広吉が付いて、試合開始。小島はパワーでKENTAを押していき、ショルダータックルで吹っ飛ばすと、KENTAはたまらず場外へ。天山に難癖をつける。リングに戻ると、ネックブリーカードロップや振り落とすエルボーの連打、グラウンドのテクニックを駆使しながらKENTAが反撃。小島は天山の必殺技モンゴリアンチョップを放つと、コーナーに追い込み逆水平チョップの連打。KENTAも反撃し、小島の「イっちゃうぞ!バカヤロー!」エルボーをブレーンバスターで切り返す。
KENTAは本部席から権利証が入ったブリーフケースを取り出すが、小島がブリーフケースごと吹っ飛ばす。パワーでは明らかに小島が上回る中、KENTAも粘りを見せて、一進一退の攻防に。最後はKENTAがgo 2 sleepを決めてカウント3。小島の健闘を振り切ったKENTAが権利証を防衛している。
だが、今回のような緊急事態に小島聡というレスラーが控えている新日本はやはり強い。まだまだ小島には隙あれば第一線の一角を狙ってもらいたい。あの肉体は嘘をつかないはずだ。
バックステージにフラつく足取りでインタビュースペースにたどり着いた小島は「昨年の 12月23日にジュース・ロビンソン選手の代打を請け負って、そこから KENTA に挑戦表明し、約2週間、とても濃密な、自分にとってかけがえのない時間を過ごすことができました。ジュースのケガはとても心配だし、ずっと『早く治してほしい』と願っています」とまずジュースを気にかけると、「だけど、俺に巡ってきたこの機会は、やはり逃したくはなかった。あえて“チャンス”とは言わない。別に、人のケガをチャンスなんて思いたくないから。ただ、そういう機会がたまたま俺のところに回ってきた。だから、そういう機会を逃さないようにやってこそ、長いキャリアを持っているプロレスラーだと、そう思って、今日の試合に臨みました。ですが、そんなに甘くない。だからこそ、甘くないから、今日までずっと夢中になってプロレスを続けてきたんだと、そう思ってます。そんな簡単に物事が運んだら、こんなにつらい思いで、厳しい気持ちでプロレスを続けてはいなかったと思います。いいこともいっぱいあるけど、たぶんその何倍も大変なこととか、つらいこととかの方が多いと思う。どのプロレスラーも、そういうレスラー人生を送っていると思う。だから俺みたいにとても長いキャリアの人間はそういう、頑張れば報われるというところを見せたかった。たくさんいるプロレスラーの人に。そういう姿を見てもらいたかった。そしてこんな俺にも、いろんなことを重ね合わせて応援してくれるファンの方にも、そういう姿を見せたかった。たとえプロレスラーじゃなくても、サラリーマンでもその他の仕事でも、俺と同じぐらいの年齢で、俺と同じぐらいのキャリアで、様々な悩みを抱えている人間の、その代弁者となって、俺は今日の試合に勝ちたかった」とこの試合に対する想いを激白。
最後は「だけど、甘くないからこそ、また明日から頑張ろうと、思っています。すげぇありがたいプロレス人生だよ。こんな、30年迎えるにあたって、こんなかけがえのないパートナーが、試合前に『セコンドついてやるよ』って言ってくれる、そんないいプロレス人生ねぇだろって、俺は思ってるから。だからもうちょっと、俺のやれること、できることを、信念を持って続けていきたいと思います」とデビュー30周年を迎えるにあたり、ブレずに闘い続けていくと誓った。
小島聡の物語はまだ終わらない。
(どら増田)
◆新日本プロレス◆
『レッスルキングダム15』
2020年1月4日
東京・東京ドーム
観衆 12689人
▼IWGP USヘビー級王座挑戦権利証争奪戦(60分1本勝負)
<権利証保持者>KENTA(小島聡<挑戦者>
※go 2 sleep
※KENTAが防衛に成功