「通り魔」は都市部の繁華街などで起こり、犯人は20~40代の若者が多いという。未成年の犯行も多く、数々の「通り魔少年」が検挙されている。
1962(昭和37)年10月、東京都大田区内で女性が針のようなもので体を刺される事件が相次いだ。
当時の新聞によると当時27歳の女性は夕方頃に帰宅中、すれ違いざまに自転車に乗った男に針のようなもので右腰を刺され、全治1週間程度の怪我を負ったという。
被害者の多くは10~20代の若い女性で、変質者の犯行ではないかとされた。だが、警察が被害者の女性から事情を聞くと、犯人は警察の想定よりも若く、未成年者であることが分かってきた。
そんな中、不審な自転車を乗り回していた男子高校生を警察が発見。その自転車はペンキで黒塗りにされ、高校生は長い竹の棒を握っていた。
警察が「何をしてるんだ」と問いただしたところ、高校生は逃走。捕まえて事情を聞いたところ、相次いで発生していた通り魔事件は、この高校生が犯人であることが分かった。
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この少年は大田区在住。夜になると自分で黒く塗った自転車にまたがり、学校から盗んだ生物解剖用の刃物を竹の棒にくくり付け、若い女性を次々に刺していたというのだ。
高校生は自分が悪いことをしているのは十分理解していたが、おびえる女性の顔や刺したときの快感が忘れられず「ついついやってしまった」と供述していた。高校生が刺した女性の数は10人以上に及ぶとされている。
この当時は中高生の犯罪が多く報じられた時期。通り魔事件の前後には高校生による強盗事件もあった。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)