巨人・戸郷翔征投手が契約更改に臨み、300%アップとなる2600万円でサインした(12月21日)。新人王のタイトルこそ逃したが、高卒2年目で開幕ローテーション入りし、それを守り抜いた。
「新人王のタイトルは逃しましたが、セ・リーグから特別賞が贈られました。優勝争いの緊張感の中で投げ続けたことが評価されました」(スポーツ紙記者)
19試合に登板し、9勝6敗、防御率2・76。“高卒2年目の投手”としては立派な成績だが、来季からは、もっと厳しい立場に置かれそうだ。
更改後の会見でこんな質問も受けた。「エースの菅野が米球界に移籍する可能性があるが?」――。
菅野智之投手はポスティングシステムによる米球界挑戦を表明し、目下、その代理人が各球団との交渉にあたっている。戸郷が契約更改を終えた時点で菅野の去就に関する進展は聞かれなかった。しかし、このまま交渉がまとまれば、2021年は戸郷を中心に先発ローテーションを編成しなければならない。
プロ野球解説者が来季の先発ローテーションをこう予想する。
「今村、サンチェス、田口、左肘の故障が治っていれば、メルセデスも入ってくるでしょう。FAで獲得した井納もいますが、戸郷中心で行くしかない」
また、ドラフト1位の平内龍太投手(亜細亜大)は「原監督の構想に入っている」(関係者)そうだが、“菅野ロスのメンバー”を改めて見直してみると、戦力ダウンは必至。戸郷が活躍できなければ、2年連続4連敗の屈辱を晴らす日本シリーズにも進出できないだろう。
「戸郷は『エースになる』という意欲が強く、ドラフト指名後の入団交渉の時から、口にしていました。努力家なので、菅野の後継者になると前向きに捉えているはず」(前出・プロ野球解説者)
会見では「今年は勢いでいけましたけど、来年は研究されてくると思う」とも話していた。さらなる高みをめざしていくの意味で言ったのだが、「開幕投手」は相当なプレッシャーとなるはずだ。
2013年、宮國椋丞投手(20年オフ退団)が「高卒3年目での大役」を務めている。同年開催のWBCに内海哲也投手(現・埼玉西武)が出場したためだが、「自分がやらなければ」の重圧からか、成績不振と故障で同年は厳しいシーズンとなってしまった。
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20歳の開幕投手だが、さらに遡ると88年の桑田真澄氏がいる。同年の桑田氏も10勝11敗と振るわなかった。巨人史上では20歳の開幕投手は、そのシーズンの成績が良くないようだ。
「昨年のオフ、戸郷は山口俊(現ブルージェイズ)の自主トレに同行し、色々と教わっていました。今年は自分を追い込むため、一人で自主トレをすると言っていましたが」(前出・関係者)
過去、プロ3年目で開幕投手を務めた先輩たちは「壁」にぶつかった。そのジンクスを跳ね返してもらいたい、原監督は誰よりも強く願っているのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)