「来年35歳で、(FAを)持っててもしようがないからさあ~」
井納は自虐的な口ぶりで吐き捨てたが、移籍の意思がなければ、DeNAの公式行事会場から、他球団との交渉を同日に入れるようなことはしないだろう。
どうやら、井納とDeNAが“オフの主役”となりそうだ。
「新庄剛志氏が『12球団合同トライアウト』を受験します(12月7日)。その数日前、DeNAの坪井智哉打撃コーチと会っているんです。ひょっとしたら…」(球界関係者)
先発投手の頭数が足らない巨人、東京ヤクルトが経験豊富な井納に興味を示すのは当然だろう。また、東京ヤクルトは慰留説得を続けているが、先発タイプでは小川泰弘投手もFA権を行使した。
「北海道日本ハムは有原航平投手が米球界に挑戦します。井納、小川のいずれかが獲得できれば、有原の抜けた穴も埋まるんですが」(プロ野球解説者)
先発投手の補強をFA市場で…。そう考えている球団は少なくないようだ。
その両投手の獲得に失敗した球団が、トライアウトを受験する巨人・宮國椋丞投手を獲るというのが、大方の予想だ。しかし、こんな声も聞かれた。
「DeNA・三浦大輔監督の育ての親と言っていい小谷正勝元投手コーチですよ。小谷氏はヤクルト、旧横浜、巨人、ロッテでたくさんの好投手を育てました。その小谷氏が宮國の才能を買っていました。小谷氏が教え子の宮國を思って、三浦監督に連絡を入れているかもしれません。三浦監督自身も今年、二軍を指揮していたので、二軍調整中だった宮國を見ています」(前出・関係者)
DeNAだが、梶谷隆幸外野手もFA権を行使した。すでに巨人入りが決まったような報道もされており、このまま行けば、井納を含めた投打の主軸2人を同一リーグの巨人に流出してしまう可能性もある。
「井納は人的・金銭的補償の発生しないCランク。梶谷は発生しますから、仮に両選手とも巨人に行くようなことになれば、DeNAは選手を1人しか補填できません。でも、宮國を獲得すれば互角になります」(前出・同)
一部報道の通り、梶谷が巨人に移籍するのなら、人的補償のプロテクト名簿が届けられる。巨人から“強奪”するのは投手か、それとも…。
>>DeNA・三浦監督、FAの梶谷・井納は引き留めない?巨人へのダブル流出は決定的、狙いは人的補償か<<
三浦体制を支える意味でも大型補強は必要だが、今のところはその気配もない。しかし、2006年オフ、FA選手を巨人奪われた後、人的補償で工藤公康投手(現ソフトバンク監督)を指名し、球界を驚かせたこともあった。「高額年俸だから手が出せないだろう」とあえて名簿から外したベテランを、だ。三浦監督の狙いはプロテクト名簿で巨人にプレッシャーをかけることかもしれない。
坪井コーチが接触に成功した新庄も獲得してくれたら、さらに盛り上がるのだが…。(スポーツライター・飯山満)