来日3年で通算109発、2018、19年と2年連続本塁打王に輝いたネフタリ・ソト内野手の残留が決定的となった。関係者の話を総合すると、新たな契約内容は3年約8億円。就任会見で攻撃力アップも掲げていた三浦監督も安堵したはずだが、梶谷隆幸外野手と井納翔一投手のフリーエージェント流出(以下=FA)は覚悟しておいた方が良さそうだ。
「三浦監督が『残ってくれ』とはっきり言えば、2人とも退団なんてことはあり得ません」(プロ野球解説者)
しかし、三浦監督は「静観」を貫くという。交渉にあたる球団スタッフへの信頼はもちろんだが、三浦監督の性格も影響している。
「どの球団もそうですが、指揮官が選手と直接話をして、残留が決まるケースもあります。三浦監督は直接交渉した後、選手と特別な関係になることを恐れています」(前出・同)
それだけではない。旧ベイスターズ時代からのチームを知る関係者によれば、三浦監督は現役のころからFAや進退に関する相談を後輩たちから持ち掛けられていた。とは言え、「こうしろ」「こうした方が良い」とは絶対に言わないそうだ。FAは「個人の権利」という考え方だ。
「三浦監督自身もFA権を行使し、宣言残留したこともありました(08年)。当時、本人は退団に傾いていましたが、『残ってくれ』というファンの声を受け、残留に一転しました。待遇の良いチームに移籍するのではなく、チームを強くし、FA選手が『行きたい』と思えるチームに変えていくと考えるようになりました」(前出・同)
プロ野球選手が移籍を前提にFA宣言する理由は、主に3つ。カネ、メンツ、優勝争いという緊張感が欲しいからだ。
梶谷は故障などがあって、近年の契約更改では減俸査定が続いている。18年オフは25%ダウンで1億円プレーヤーから転落し、昨年オフも“野球協約が定める減額制限のギリギリ”となる24・4%のマイナス査定を提示された。本人は「この成績では仕方ない」とコメントしていたが、「このままだと、グッバイ・ベースボールになる」ともこぼしていた。
このサラリと口にした後者の言葉の方が、梶谷の胸中を大きく占めていたのかもしれない。
「旧ベイスターズ時代、村田修一(現巨人コーチ)、内川聖一(ソフトバンク退団)がFA退団した理由は『勝敗』です。彼らがどんなにヒットを打っても勝てない、優勝争いに食い込めないという当時のチーム事情でした」(ベイスターズOB)
彼らが退団する際、「残る」と決めた三浦監督も直接、その相談は受けていたという。
指揮官の性格も考えると、梶谷は「外野手スラッガー」を欲している“近郊球団”に行ってしまいそうだ。
もっとも、減俸が続いても梶谷はチーム内の年俸ランキング10傑(外国人除く)に入っているので、人的補償は発生する。12月6日、FA選手と在籍チーム以外の交渉がスタートする。むしろ、人的補償でどんな選手を一本釣りするのかで、「三浦カラー」が見えてきそうだ。(スポーツライター・飯山満)