ファームでは21試合黙々と投げ続け、最終戦では1点ビハインドの9回のマウンドを託され無失点に抑えると、味方がその裏に同点に追いつき10回も続投。2失点を喫し試合は決まったかに見えたが、なんとその裏に打線に火が付き大逆転でサヨナラ勝ちを収め、藤岡は最終戦で勝利投手に。まるで”見えない力”が働いたようにも見えるような、ドラマチックなラストゲームもあった。
そして、28日に球団を通じて、「横浜DeNAベイスターズのファンの皆様。また、全国の野球ファンの皆様。私、藤岡好明は今季をもって引退することを決めました。福岡ソフトバンクホークスからスタートし、北海道日本ハムファイターズ、横浜DeNAベイスターズと歩み15年。この 15 年間たくさんの人と出会い、たくさんの人に支えられ、多くのファンの皆様に応援していただきました。これは僕にとってかけがえのない財産です。感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございました」と現役を退くことを発表。同時にファームコーチ就任も明らかになり、「ただ引退はしますが、野球への情熱は変わりません。この情熱を今度はチームに、そして選手に注ぎたいと思っています。来年から新たなステージに向かいますが、これまで同様、藤岡好明を引き続き応援していただけると幸いです」と来季への抱負を語った。
2006年ソフトバンクでのルーキーイヤーに62試合登板、26ホールドを記録した鉄腕は、2度ユニフォームを変え、肝機能障害や肩の故障をも乗り越えた経験はかけがえのない財産。実際、昨年の交流戦ではパリーグ経験者の藤岡に、三嶋一輝と国吉佑樹は度々助言を求めると証言。またファームでも、故障からフォームを暗中模索していた古村徹に的確なアドバイスを行い、自主トレにも多くのチームメイト達が集うなど信頼は絶大。“侍ソウル”は役割を変えてベイスターズを支え続ける。
取材・文・写真 / 萩原孝弘