>>巨人、直江・山下の自由契約は大補強の布石?「人的逃れの可能性もある」今オフ5人目の“育成落ち”に憶測飛び交う<<
原辰徳監督が1分にも満たない“怒りの声”を上げ、一方的に会見を打ち切ったのは既報通り(11月22日)。現在、巨人はシリーズ通算7連敗中(2013年第7戦~)、セ・リーグ覇者の意地を見せるには、“パ・リーグを模倣する”しかない。
「直前でのルール変更には驚きました。指名打者制(以下=DH)の申し出があれば、セ・リーグも同ルールを導入すべきというのが原監督の考えですから、受け入れると思われましたが、直前の変更ですからね。そこで、戦略の練り直しが必要になったのかもしれませんね」(ベテラン記者)
巨人側に同情する声も聞かれた。
今年の日本シリーズは全試合DH制と変更された。85年以来、35年ぶりだという。
「DHで起用された選手の差が、そのまま得点力に表れています」(前出・同)
ソフトバンクのDHは、デスパイネだ。今季は新型コロナウイルスの影響で大幅に来日が遅れ、その後も両ヒザの痛みで2度の登録抹消もあった。絶不調だったシーズンの憂さ晴らしをするように、第2戦ではシリーズ史上21人目となる満塁ホームランを放つなど計6打点の大活躍であった。
対する巨人のDHは、ベテランの亀井善行。2試合を終え、ノーヒットだ。
「セ・リーグはDH制の野球をやっていません。選手の感覚だと、守備に就かないので、試合のリズムが掴めないようです」(球界関係者)
DH、攻撃陣の差はそれだけが原因ではないようだ。セ、パ両リーグを経験した元投手のプロ野球解説者によれば、「配球」に関する考え方が大きく異なるという。
「セ・リーグのバッターは配球を読もうとするんです。パ・リーグは相手バッテリーの配球も考えますが、直球が来たらフルスイングという意識が徹底されています。巨人打線も相手投手の直球に力負けしないスイングをしなければ、第3戦目以降もアブナイ」
力負けしないフルスイング。パ・リーグ流の打撃ができなければ、2年連続ストレート負けの可能性がある。
また、全試合DH制となった85年の日本シリーズと言えば、「バース、掛布、岡田」の超強力打線で阪神が日本一に輝いている。当時、吉田義男監督が不慣れなDHを託したバッターは、ベテランの弘田澄男だった。全試合、2番DHで出場したが、22打数3安打。打撃優先のDHとしては物足りない数字だが、1番・真弓が出塁すると、犠打に徹した。しかし、1球ごとにバント、バスターなど、バットの構え方を変えて、相手バッテリーを混乱させていた。
投手が打席に立つセ・リーグでは、バントの成功率が勝敗を分ける。こちらは、「いつも通りの野球をやれば、セ・リーグもパ・リーグも関係ない」ということを証明した。
僅差のゲーム展開に持ち込み、中継ぎ陣を投入し、逃げ切る原野球だ。そのいつも通りのスタイルに持ち込むには、打線が先制点を取らなければならない。パ・リーグ流のフルスイングを徹底させなければ、セ・リーグ覇者の面目も丸潰れだ。(スポーツライター・飯山満)