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本作は、映像制作者の人材発掘を行うシネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)の第13回助成作品。大学の研究室で「心を可視化する機械」の開発が行われていたが、実験中に事故が起こり、開発者・三島草一(申芳夫)が目覚めなくなる。共同研究者で妻の碧(白河奈々未)は開発を続けていたものの、成果を出さない碧を疎ましく思う大学側は、機械の調査という名目で真崎トオル(吉田龍一)を送り込むが……というあらすじだ。監督は、映画美学校出身の五十嵐皓子。日本、アメリカ、イスラエルなど国内外問わず各地の映画祭に出品されている。
今回、主演・真崎を演じた吉田にインタビューを実施。作品のことはもちろん、長く付き合ったカップルが7日間のメキシコの旅に出て結婚をするのか別れを選ぶのかを選択する恋愛リアリティーショー『さよならプロポーズ2』(AbemaTV/テレビ朝日)出演時の話などを伺った。
ーー実はこの作品が制作されたのは4年前。改めて公開できる喜びの声を聞かせてください。
今までは国内外問わず映画祭でたくさんの方々に観ていただいていたんですけど、より近い、僕たちを応援してくださっている方たちに観ていただけるのは素直に嬉しいですね。
ーー本作に出演するにあたって台本を見た時、どんなことを思いましたか?
普通は台本があってキャスティングという順番だと思うんですけど、先に主役確定で台本をもらったので、“何をやるんだろう?”って思っていました。ワクワクしながら台本を受け取った時、正直“分からん!”って(笑)。だから、めちゃくちゃ読み込みましたね。
ーーそんな難解と感じた作品が、映像として完成。率直にご覧になったときの感想を聞かせてください。
今回のインタビューを受けるにあたって作品を見返した時に、4年前に感じていたことと、いま感じることがまったく違ったんでびっくりしましたね。自分の作品ですけど、“めっちゃええやん!”って。自分が出させてもらっている映画の中で、恥ずかしくて“これは見られたくない”っていう作品も正直あるんですよ。でもこれは、ぜひ観ていただきたいですね。物語以上に、いろんな本質的なものが込められている作品だと思います。
ーー五十嵐監督はどんな印象ですか?
おだやかで優しい方でありながら、意志が強くて頑固な部分もあるんですけど、その監督の人間性が作品に込められているなって印象です。現場でも監督が背中で見せてくれたこともあって、どれだけ撮影が大変でも、キャストも頑張ろうって思えたんじゃないですかね。
ーー大学から送り込まれる真崎という役と、どのように向き合いましたか?
意識していないようで意識したのは、この作品って、ある命(めい)があって真崎が研究室に送り込まれ、無自覚な部分で碧に惹かれるところから物語は進んでいくと思うんですけど、その無意識って“表現”の部分で難しいところで……。意識しちゃうと、そこで“意識”していることになるじゃないですか。そこは気をつけていましたね。
分かりやすく言えば、そういう感情を無視していました。惹かれていくところであったり、心に刺さるところであったり、役と対峙したときに感じるものはあるけど、それを感じて出しちゃうと難しいところがあるというか。
ーー碧に惹かれていく真崎に対して共感する部分がありましたら教えてください。
碧さんの容姿でも、碧さんが何かをしてくれたわけでもない。真崎は違う部分で惹かれているなって思っていて。第三者に圧力をかけられても、碧は一途にその人(意識不明の夫・草一)を愛し続けているわけじゃないですか。そういうところに(真崎は)惹かれていったと思うんですね。それって言葉じゃなくて心の意識的なもの。そういうところに惹かれる真崎を僕も好きって思いました(笑)。
ーー現在、私生活では婚約中だそうですが、惹かれた箇所が似ているなと感じたりしますか?
ありますね。すごいですね……そこ繋がっている意識がなかったです(笑)。
ーーそんなフィアンセは『さよならプロポーズ2』にも出演されたユカリさん。婚約生活はいかがですか?
恥ずかしいですね(笑)。楽しくさせていただいています。
ーーブログでは、2人で歩いていると、番組ファンの方から声をかけられたと書かれていましたね。
恋愛リアリティーショーのコアなファンの方がたくさんいらっしゃって、一気に認知度が高まったのはありがたかったですね。食中毒になったりして、けっこう過酷だったので、旅の記憶がほとんどなかったんですよ。だから、僕たちがあの番組に出たっていうことをたまに忘れる時があって……。声をかけられた時も「何のことやろ? あーそういうことか!」と思ったくらいで(笑)。_
ーー番組MCの小籔千豊さん、辻希美さんがおっしゃっていたことで心に残った言葉はございますか?
一番残っているのは、小籔さんが僕の名前“リュウイチ”を動詞にしてくださったことですね。「“リュウイチってる”ところってみんなあるよね」っておっしゃっていたんですけど、最初何を指しているのか分からなくて(笑)。意味は“僕が誰かのためにやっていることが、本当は回り回って自分のためになっている”ってことなんですけど、“そんな変な気持ちちゃうけどな”って思っていました。完全に無意識ですね(笑)。
ーー最後に本作の見どころを教えてください。
1回では理解しづらい映画だと思うんですね。2、3回と観た時に僕自身、クライマックスを通して“人だな”とか“人生だな”ってすごく感じて涙をしたので、それに気づいた時に自分自身の人生観が広がるんじゃないかと思います。
取材・文:浜瀬将樹
『メカニカル・テレパシー』
監督・脚本:五十嵐皓子
出演:吉田龍一、白河奈々未、申芳夫、伊吹葵、青山雪菜、石田清志郎、時光陸、松井綾香、長尾理世、竹中博文、古内啓子(声の出演)ほか
公開日:10月9日からアップリンク渋谷ほかにてロードショー
公式サイト:https://mechatelemovie.wixsite.com/mechatele