千葉ロッテのレオネス・マーティンは、首位争いを繰り広げるチームにおいて、頼もしい働きを見せ続けている。
秋を迎えても、その勝負強さに磨きがかかってきている印象だ。
9月29日の札幌ドームでの日本ハムファイターズ戦では、土壇場9回に放ったソロホームランが結果的に決勝点となり、翌日のゲームでも初回にタイムリーで先制点を挙げている。何れも接戦を制した試合での貴重な打点を記録、首位奪還へ勢いづくチームをそのバッティングで大きく後押ししている。
シーズン序盤より本塁打数こそ伸ばし、現在もランキング上位(24本・リーグ3位タイ)に位置するものの、打率は.247(いずれも9月30日現在)とやや物足りなさを感じさせる数字ではあることは確かだ。ただ、自身の役割について、「本塁打は求めていない。チャンスに結果を出してチームの勝利に貢献すること」と語っており、ここにきて尽く勝敗を決するシーンなどで貴重な一打を放ち、相手チームの脅威となっている。
9月25日からの本拠地での首位攻防・ソフトバンク3連戦でも、まさにその言葉通りの「役割」を果たしていた。
初戦は2本の安打を放ちチームも白星、続く2戦目は23号となる本塁打を記録するも試合には敗れた。1勝1敗で迎えた27日の3戦目。両チーム、計22安打の乱打戦となったこの試合において、マーティンはなんと5打席全てフォアボールでの出塁、8対4の勝利に貢献している。全打席とも敬遠なし、勝負に来た際どいボールを見極めての四球だっただけに、その選球眼、さらには相手に与える威圧感が改めてクローズアップされたゲームだったと言えるだろう。
また、マーティンにとっては今シーズン苦手意識を持っていた対ソフトバンク戦(3連戦前までの打率は.217・1本塁打)ではあったものの、この首位攻防戦での打撃成績は今後に向け、大きな意味を持った内容だったと言える。
ソフトバンクとのゲームはまだ9試合も残されており、苦手意識を払拭したとするならば、さらなる好結果が期待される。おそらくはシーズン最終盤まで熾烈なデッドヒートを繰り広げるであろう、パ・リーグのペナントレース。勢いに乗る千葉ロッテの15年振りの優勝へのカギは間違いなく、頼もしき助っ人、レオネス・マーティンが握っている。(佐藤文孝)