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容疑者は全員自殺、誘拐された医師夫人の行方は未だ分からない謎【未解決事件ファイル】

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 2002年6月3日、岡山県津山市で当時55歳の主婦Aさんが行方不明となり、彼女の夫で医師の銀行口座から700万円が引き出される事件が発生した。監視カメラから現金を引き出したと見られる男女二名を特定することに成功したものの、警察が逮捕する前に容疑者らは自殺。Aさんの行方は未だに掴めていない。

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 事件当日の午前11時頃、被害者宅に容疑者二名が訪れた。33歳の会社員女Bとタクシー運転手の男Cだ。Aさんは二人と面識はなかったという。玄関先で容疑者らは「お父さんに世話になっているので両親の家を教えてほしい」などと話した。Aさんはこのことを別居している母親に電話で連絡したが、母親は男女について心当たりはないと答えたそうだ。結局、BとCが被害者の両親宅を訪れることは無かった。

 事件が発覚したのは午後5時過ぎ。Aさんの夫が仕事から帰宅して異変に気付いた。Aさんの姿はなく、食卓には昼食が残されたまま、風呂場の水道も流しっぱなしになっていたという。しばらくすると、Aさんから自宅に「心配いりません、午後6時ごろには帰ります」と電話が入った。しかし、時間になってもAさんは帰宅せず、午後7時には再びAさん本人から電話が入る。「車で連れ回されている。身の危険はないから警察には言わないでください」。夫は「誰といるんだ」と尋ねたものの、Aさんが答える前に電話は切れてしまったそうだ。Aさんが事件に巻き込まれていることを知った夫は、すぐに警察へ通報。犯人からの電話を待つ一方で、周辺地域の捜索も行われた。

 警察の調べで、同日夕方には被害者宅の銀行口座から700万円が引き出されていたことが判明。更に、6月4日にも容疑者らが岡山駅近くのキャッシュコーナーから金を引き出そうとするも、既に被害者のキャッシュカードはロックされていたため失敗したことが分かった。ロック時に回収されたキャッシュカードから警察は指紋を検証し、容疑者Bを特定することに成功した。

 ほどなくして、Bと親しくしていたタクシー運転手Cの存在が浮上。被害者を自宅まで運んだことがあり、更に犯行で使われた車を所有している疑いが出たのだ。防犯カメラと県警の自動車ナンバー識別装置により、容疑者と犯行に使われた車が割れた。このことがマスコミに漏れてしまい、警察の事情聴取が始まる前に、Cはマスコミから取材を受けることになった。これを受けて、Cは自ら警察署を訪れ、「Bとは仲が良かったが事件には関係していない」と身の潔白を訴えた。しかし、6月下旬にCは岡山県内にある公園で首を吊って自殺してしまう。警察はC宅の家宅捜索を実施し、所有車からAさんの血痕を発見した。

 警察は最後の手掛かりとなるBの行方を追ったが、結局こちらも生きて捕まえることは出来なかった。事件から3か月半後の9月23日、岡山県にある山中でBの白骨遺体が発見されたのだ。現場の状況から自殺と見られている。これを最後に事件は動きを見せていない。Aさんの行方は2020年8月現在も不明のままだ。夫は子供らを連れて岡山県から引っ越し、現在は診療所で勤務する傍ら犯罪被害者の会に参加しているという。

 容疑者らは二人ともギャンブルが好きだったといい、それが原因で2000万円近くの借金があったという。それが原因で犯行に及んだのだろうか。そして、Aさんは一体どこに連れて行かれたのか。

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