夫の浮気が原因で信頼関係が破綻したとしても「まだ子どもが小さいから」「経済的な不安がある」といった理由で離婚をためらう女性は多い。しかし、信頼関係が失われた状態で不穏な夫婦生活を続けた場合のリスクも無視はできない。
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夫婦関係が子どもに与える影響を調べたある心理学研究では、関係が険悪な家庭で育った就学前の子どもは、非常に高いストレスホルモン値を示すことが明らかになっている。つまり、子どもは慢性的に強いストレス状態にあるということだ。
こうして長期間にわたって強いストレスを受け続けた子どもは、日常的な不安や心配、憂うつといった感覚に支配されやすく、精神的な安定性を保ちにくかったり、しばしば身体的な不調を訴えたりするとされる。また、海馬の萎縮や損傷が認められる場合もあり、感情のコントロールが難しい傾向もあると報告されている。そのため、小学生から中学生へと成長する過程で、無断欠席や不登校、無気力や抑うつ状態、成績不振に陥り、問題行動などを引き起こしやすくなる。
一方で、片親育児による子どもへの影響が深刻であることは一般的にも有名だ。例えば、片親を失う喪失感や見捨てられた経験からくる自己肯定感の低下。他にも、片親が労働と家事育児を一手に担うことによる精神的・肉体的・時間的負担の大きさから、子どもとの団らんやコミュニケーションが不足する場合も多く、子どもへの精神的なケアが不十分になりやすい。
1993年、バージニア大学のヘザーリントン教授は研究で「両親がそろっている子どものうち、精神的に問題がない子どもは90%であり、治療が必要とされるような精神的なトラブルを抱えている子どもは10%であるのに対して、両親が離婚した子どもではそれぞれ75%と25%である」と示した。片親だけで育てられた場合の子どもも、険悪な関係の夫婦に育てられた子どもと同様に、学業不振や非行問題、自殺願望や抑うつ状態、摂食障害といった精神的な問題を引き起こしやすくなる。
このように、いずれも子どもに大きな影響を与えることが分かる。とはいえ、不倫問題で一度破綻した信頼関係を築き直すことは非常に難しく、結婚生活を継続する限り、毎日夫と顔を合わせるたびに精神的苦痛がストレスとして蓄積してしまうことは言うまでもない。
険悪な夫婦関係の継続による子どもへの悪影響を解決するためには、杏と東出のように、潔く離婚に踏み切ることも、賢明な選択肢のひとつといえる。
そして、片親育児で子どもへの影響を少しでも緩和するためには、元夫婦が離婚後も協力して子どもの孤独感をなくし、精神的なショックのケアに努めることが望ましい。そのためには、父親は決して子どもとの関係を終わらせることなく、継続的に愛情を持って接する必要がある。また、そのためにも、子どもに対して虐待をはたらくような大きな問題のある父親でない限り、母親は父と子が会う機会を断絶したり、自分の個人的な感情を子どもに押し付けるといった行動は避けたいところだ。
杏と東出は、連名の文書で「今後は子どもたちの親として成長し、協力し合う関係を築いていきたい」としている。
これからの2人の人生と、幼い3人の子どもたちのすこやかな成長を応援したい。
心理カウンセラー 吉田明日香