放送後、そんな青木と母親との確執や苦悩について、ネットでは「痛いほどわかる」「打ち明けてくれてとても参考になった」といった共感の声や、「うちの母親も…」と、青木の後に続くように自らのエピソードを投稿する人も少なくなかった。
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母親と確執を持つのは、男性よりも女性に多いと言われている。そして、その誰もが、母親との関係性に複雑な感情を抱えている。
まず、母親に対して嫌悪感があること自体に罪悪感を持っている人が多く、なかなか素直に自分の気持ちを表現できない。誰にも相談できずに、自分の思いを無理に抑え込んでいる人もいる。
仮に思い切って表現できても、共感を得られない人から、「感謝の気持ちが足りない」、あるいは「親を悪く言うなんてみっともない」などと非難されることもあり、なかなか分かってもらえないと感じている人が多い。青木も、「確執の話をするたびにご批判いただいた」と話しており、以前から批判の声を気にしていたようだ。
また、青木が「頭では分かっている。でも無理なんですよね」と話したように、「育ててもらったことに感謝しなければいけない」という考え方自体は理解できるものの、根深い嫌悪感がぬぐえず、葛藤を抱えたまま、中にはそんな自分を責めてしまう人もいる。
他人と違って、母親は切っても切り離せない存在であり、同居か別居かを問わず、何かと意識させられることが多い存在でもある。確執が原因で長期的に強いストレスがかかれば、心身に変調を来してしまう可能性もある。
精神的に楽になるための対処法としては、大きく分けて行動的側面と気持ちの側面の2つがある。
行動的側面の対処法の1つとしては、まず物理的に母親と距離を取ることである。例えば、同居をしているなら別居を考えてみる、別居が無理なら、あまり接触しなくてもいいように工夫してみる、という単純な方法である。母娘間の確執では、母親の過干渉や、批判的・支配的な態度が娘のストレスの原因になっているケースが多い。まずはこうした接触によるトラブルを物理的に避けることで、精神的な負担を軽減させることができる。
もう1つは、関係改善のための行動を起こしてみるということだ。人間は、まず行動を変えることで、それまでの自分の心理が変化する場合もある。例えば青木は、ホスピスへ見舞いに行くたびに「今日は娘の楽しかったことを話そう」「今日は手を握ろう」といった課題を設け、実行に移していたという。その結果、青木は最終的に普通の母娘のようにたわいのない会話を交わせるまでになり、「母からありがとうと言われることが増えたような気がした」と、母親にも変化があったと話している。
さらに、共感者との会話やカウンセリング等で、自分が思っていることを話すのも効果的である。自分の気持ちを伸び伸びと表現し、それを受容してもらえるという機会は、ストレスの解消になるだけではなく、客観的に話すことが新たな発想につながって意外な解決策が生まれたり、自信や勇気といったポジティブなエネルギーを引き出せる場合もある。
気持ちの側面では、無理に歩み寄ろうとしなくても良いということを理解することと、自分を責めないことがポイントになる。母親との間に確執があるということには、他人には分かり得ないそれなりの理由がある。他の親子と同じである必要はない。いずれのケースにせよ、必ずしも娘だけが無理に自分の気持ちを押し殺して一方的に歩み寄る努力をしなければいけないのではない。つまり、自分を責める理由もないのだ。
文:心理カウンセラー 吉田明日香