「1番バッターに抜擢したピレラは好スタートを切りましたが、問題はクローザーを任せたテイラー・スコットですよ。フランスアはイマイチ、中崎の調子が上がらないとなれば、スコットにやってもらうしかありません。でも、また救援に失敗するようなら、心配性の佐々岡真司監督は『動く』かもしれません」(球界関係者)
期待の新人・森下暢仁の先発デビューで沸いた6月21日のDeNA戦、スコットが救援に失敗し、逆転サヨナラ負けを喫した。森下のプロ初勝利も消え去ったのはもちろんだが、内容が悪すぎた。アウトカウントを一つも取れなかったのだ。
「スコットは前日も9回に投げています。大量リードに守られていたから大丈夫でしたが、9回の1イニングで失点1、野手のほぼ正面に飛んだから良かったものの、DeNAはこの時点で、『スコットは怖くない』と思っていたようです」(前出・同)
連日の登板、初のセーブシチュエーション。6月の練習試合途中から、「クローザー」を申し渡されたが、それが務まるかどうか、試される場面だった。佐々岡監督は祈るような気持ちでマウンドを見ていたそうだ。
「常時150キロを投げるという触れ込みでしたが、対戦バッターは『速い』と感じていません。シンカー、スライダー系の落ちる変化球も持っていますが、走者を背負い、セットポジションになると、球威、変化球のキレも悪くなって…」(スポーツ紙記者)
このスコットが「使えない」となれば、佐々岡監督はリリーフ陣の配置換えも検討しなければならない。状況次第では、先発要員の中から代役を探すことになる。
「フランスア、中崎の復調を待って」となりそうだが、クローザーを僅差で登板させられないのは痛い…。
この件に直接関係はないが、目下、球界ではこんな情報も囁かれている。
「今季に限り、補強期日を9月末まで延長しましたが、新型コロナウイルスの第2波が来るのではないかと騒がれている時に『トレード』なんか、できませんよね。活躍を想定していた選手が不振に陥り、外部からの緊急補強が必要と判断された場合は、新たな外国人選手を途中補強するしかない」(前出・同)
海の向こう、メジャーリーグではこれから始まるペナントレースの試合数の削減に応じた年俸の減額幅を巡って、経営陣と選手会の話し合いも続いている。こうした状況から考えると、2月キャンプ時点で去就の決まらなかった大物選手が所属球団を探し、契約を交わすのは難しいだろう。すでに、代理人を通じて日本球界に売り込みを掛けている選手もいるという。
クローザーの不振は、チームの危機だ。佐々岡監督は売り込みリストに目を通すことになりそうだ。(スポーツライター・飯山満)