大きく報じられた事件の一方で、小さな「いざこざ」のようなものも多い。対応する人間にとっては、たまらないものだ。中でも、「言いがかり」を付けられるサービス業従事者はたまらない。
そんな「言いがかり」のような事件が、北海道内で発生している。20日午後6時半頃、JR函館本線の車内で、乗っていた放射線技師の男(44)が、突如車掌の胸ぐらを両手で掴んで暴行した。車掌はすぐに異常を連絡。JR奈井江駅で、待っていた警察官に暴行容疑で逮捕された。
男を怒らせた理由は何だったのか。その動機は、新型コロナウイルスに関連している。当時列車では新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、車両連結部のドアが開けられていた。車内は温度が低くなっていたようで、車掌に「寒い」と訴えたのだ。
警察の取り調べに対し、男は容疑を認め、「車掌の態度が気に食わなかった」「カッとなって掴んでしまった」と話しているという。現状では「車掌の態度が悪かった」のかどうかについてはわかっていない。
この異常な事件に、「列車の換気は今では当たり前。コロナで肺のX線やCTの画像診断にかかわる放射線技師がそれを理解できないなんてありえない」「こういう人間は最悪。態度が悪いって話も嘘っぽい。大した罪にならないかもしれないけど、社会的制裁は受けるべき」と怒りの声が上がる。
一方で、「確かに寒いという気持ちもわかる」「北海道だし、かなり冷えたのでは」「真摯に対応するべきではなかったか」と疑問視する声も出た。
中国発の新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、人類は現在様々な制約を受けている。特に日本人にとっては、このような事態は第二次世界大戦後初めてという声もある。イライラしてしまう気持ちも理解できるが、落ち着くまでは耐えるしかない。