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若い学生カップルを襲った小太りの不審者、生還した彼女の証言が二転三転する理由とは【未解決事件ファイル】

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画像はイメージです

 2010年10月4日、兵庫県神戸市北区で当時16歳の男子高校生Aさんが突然、男に刃物で襲われて死亡する事件が発生した。現場にはAさんと交際していた当時15歳の女子中学生Bさんもいたが、逃げて無事だったという。Bさんが犯人の顔を目撃していたという事もあり、事件は早期解決することが予想されたが、10年近くたった現在も未解決のままである。

 この日、AさんとBさんは午後6時頃から、共通の友人らと一緒に神戸市北区にある公園で遊んでいた。しばらく公園で過ごした後に解散となったが、AさんとBさんは「午後10時頃に会おう」と約束したという。そして午後10時過ぎ、AさんとBさんは事件現場となる路上で再び合流し、近くの自販機でジュースを購入して飲みながら会話していたそうだ。
 しばらくは普通に会話していた二人だったが、ふとBさんが前方に顔を向けたところ、不審な人物がいることに気づく。道路の向かい側にある車止めのポールに座っている小太りの男性が、自分たちをじっと睨んでいたのだ。Bさんが小声で「あの人気持ち悪いね」というと、Aさんは「ほんまやな」と答えたそうだ。

 すると、声が聞こえたのか、不審者は立ち上がり二人のもとへ歩き出し、二人の目の前に来た瞬間、小型ナイフを振りかざしてAさんの肩周辺を突き刺した。Aさんは「逃げろ!」と叫び、Bさんは一目散に逃げ出したという。この時の時刻は10時40分頃だったとBさんは証言している。
 その後、Bさんは携帯で友人らに連絡し、再び現場に戻ると既に二人の姿は見当たらず、血痕だけが残されていた。点々と続く血痕の後をBさんが辿ると、現場から約70m先にある交差点でAさんが倒れていたという。すぐにBさんは警察に通報し、警察官と救急車が駆け付けたが、Aさんはまもなく死亡した。

 警察は特別捜査本部を設置して本格的な捜査を開始。事件翌日にはBさん立ち合いのもとで現場検証が行われた。しかし、捜査は早々に行き詰まる。現場は人目の多い住宅街だったが、目撃者はBさん以外一人も現れなかったのだ。さらに、唯一の目撃者であるBさんの証言が二転三転したという。「犯人は正面から襲ってきた」「気づいたらAさんの横にいた」「犯人の服はジャージだった」「ウィンドブレーカーを着ていた」「逃げろと言われて走り出したので犯行は目撃していない」「馬乗りになって刃物で刺した」など。尚、この事でBさんに疑いが掛けられることはなかったが、知人などから「Aさんの友人に不良が多かった」「現場は不良の溜まり場として騒音問題が起きていた」「Aさんは座った状態で刺された、防御創はない」などの声は上がっていたという。

 事件から1週間後、犯行に使われた凶器が事件現場付近から発見されたが、その場所は既に警察が一度捜索を済ませた場所だった。犯人はわざわざ現場付近に証拠を遺棄したことになる。

 Bさんの証言の中には、「犯人は最初からAさんを狙っていたように思う」というものもあったそうだ。もしそれが本当なら、なぜ犯人はAさんが一人きりの瞬間を狙わなかったのだろうか。Bさんの証言が次々と変わっていった点も気になる。あの日、彼女は一体何を見たのか。

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