▽2月28日東京・後楽園ホール 観衆1,328人
武藤敬司プロデュース、プロレスリング・マスターズが2月28日、東京・後楽園ホール大会を開催した。チケットは完売していた同大会だが、政府が新型コロナウイルス感染拡大予防のため、不要不急の外出の自粛を呼び掛けたことや、大会2日前に新日本プロレス所属選手が、新日本の興行中止に伴い他団体への選手派遣を取り止めたことなどが重なり、当日は観戦を見送ったファンもいたが、会場はかつて時代を築いた「達人」たちを見るために、多くのファンが集まった。
オープニングマッチでは、百田光雄と大矢剛功によるベテラン対決が組まれた。全日本プロレスでは「6時半の男」と言われた百田と、新日本プロレスではアントニオ猪木氏の付き人を務め、SWSなどを経てFMWでブレイクした大矢の対戦は、会場の温かい雰囲気の中、2人の攻防を楽しませた上で、15分時間切れ引き分けに。この2人に関しては、決着を望む方が野暮と言ってもいいだろう。
第2試合では、現在でもW-1のクルーザー級戦線で活躍しているヒートに、メキシコで生まれて日本では今回が初公開となるキング・リーと、2代目タイガーマスクをオマージュし、かつてプロレスリング・ノアにスポット参戦していたタイガー・エンペラーが夢のトリオを結成。東京愚連隊と対戦した。マスクマントリオは、エンペラーがトリッキーなタイガー殺法で愚連隊を翻弄。ヒートもコンディション良好で、3人の中で現在でも活躍している存在感を見せつけていた。2人の動きにつかまる場面もあったリーだが、場外にトペを放つなど、メキシコ時代を思い出した様子。最後はリーが、MAZADAにムーンサルトプレスを決めてフォール勝ち。試合後、インタビュースペースに現れた3人はリーが日本語で話し、「俺たちほどミステリアスなマスクマンはいないやろ?」と聞き覚えがある関西弁でアピールし、控室に入っていった。
キング・リーと、タイガー・エンペラーの再登場はあるのだろうか?特にエンペラーは、メジャー団体のジュニアヘビー級戦線に加わったら人気が再燃する可能性を見せただけに、一夜限りに終わらずこの続きを見せてもらいたい。
取材・文 / どら増田
写真 / 萩原孝弘