ドイツでカーテンをつける人が少ない理由の一つは、常に家の中が整理整頓されていて、外から見られてもいい状態だからだという。ドイツ人は掃除好きで、家の中はいつでも人を招けるほど綺麗にされているのだ。
「日本人は隠す文化を持っているように思いますが、ドイツ人はどちらかというと見せる文化を持っているように思います。ですが、そもそも人のことをいい意味で気にしないので、人の家の中を気にして見る人も少ないです」(ドイツ在住日本人)
また、防犯意識が日本よりも低い点も、カーテンをつけない理由だろう。ドイツでは電車などで痴漢に遭うことはまれで、女性の一人暮らしでも、誰かに見られないように家を常に隠さなければと思う人があまりいないという。痴漢や変質者が少なく、痴漢や変質者への心配が少ない環境も、カーテンをつけないことに繋がっているようだ。
「ドイツでも日本の痴漢が話題に上がることはありますが、私の周りの多くのドイツ人女性は『電車で痴漢なんてされたらその場で怒るから、ドイツではあり得ない。痴漢されているところを見たら、周りも怒鳴るはず』と言います」(前出・同)
さらに、太陽の光を家の中に十分に取り入れようとすることも、カーテンをつけない理由である。特に冬場は日照時間が短く、どんよりとした天気の日も多いため、ドイツでは年間を通して自然の太陽の光を大切にする文化がある。天気のいい日は外に出て太陽に当たろうとするドイツ人は、家の中でもできるだけ太陽の光を取り入れようとするのだ。
「太陽が大好きなドイツ人ですが、太陽の光を取り入れることで節電にもつながるという考えもあります。ドイツ人はかなりの倹約家。ちょっとの電気代も無駄にしません」(前出・同)
そして、ドイツ人は自然を大切にするがゆえ、家の中にいても外の自然を見ることを好むのだ。マンションやアパートには中庭があり、窓からは中庭の自然が見えるようになっている。一軒家でも、庭に木や花を植え、常に窓から自然の景色が見えるように工夫されている。
「ドイツ人は自然が大好き。家の中からでも外の自然を見る気持ちよさを重視しているんです」(前出・同)
倹約家の国民性や、治安のいい環境が、ドイツでカーテンをつけることを不要にさせているようだ。