問題となっているのは、大関豪栄道対平幕阿武咲の取組前の発言。今場所ここまで「5勝9敗」の豪栄道は、23日の12日目終了時点で既に次の春場所で関脇へ陥落することが決定済。それでも、観客は豪栄道に大声援を送っており、中には日本相撲協会が定める「相撲競技観戦契約約款」で禁じられている“コール行為”を行うファンも散見された。
取組前に飛び交った“豪栄道コール”を受けた舞の海氏は、「この一番で引退と思っているお客さんが、もしかしたらいるのかもしれない」と発言。豪栄道へ向けた観衆の声援には応援だけでなく、惜別の意味合いも込められているのではないかと持論を展開した。
この舞の海氏の発言を受け、同じく放送内で解説を務めていたNHK大相撲解説者・北の富士勝昭氏は「え?ないでしょ」、「考えすぎじゃないか?」と反論し、「舞の海さんは(豪栄道が所属する)境川部屋のコーチだから、(さては)何か知ってるね?」と追及。
しかし、これに対し舞の海氏は「いえいえ、そういう情報は本当に入ってきておりません」と、先ほどの発言に根拠があるわけではないと釈明していた。
今回の一幕を受け、ネット上のファンからは「いや、しこ名呼んだのは単純に応援してるからだろ、コール起こるのも珍しくはない人気力士だし」、「根拠もないのに勝手に引退を決めつけるなんて信じられない」「今の発言は本当に不快、豪栄道に対して失礼にも程がある」、「現地にいたけど、そんなことは一つも思ってなかったぞ」と反発の声が数多く挙がっている。
「27日の報道では、豪栄道は師匠の境川親方と話し合った上で、来場所の番付編成会議が行われる29日までに進退を明言すると伝えられています。ただ、来場所で10勝すれば大関に復帰できること、そしてその来場所が自身の地元である大阪で開催されることを考えると、現役を続行する可能性の方が高いとは思いますが…」(相撲ライター)
2014年秋場所から今場所まで33場所連続で大関に在位し、2016年秋場所では全勝優勝も果たしている豪栄道。その大関に対し、根拠なく「引退」という表現を用いた舞の海氏に、違和感を抱いたファンは多かったようだ。
文 / 柴田雅人