きっかけとなったのは、4勝1敗同士の顔合わせとなった天風対隠岐の富士の取組。勝負は自らも倒れ込みながら天風を寄り切った隠岐の富士に軍配が上がったが、この際に土俵下へ落下した体重186キロの天風が審判の浅香山親方(元大関・魁皇)を直撃。その衝撃の影響からか、浅香山親方は右足のあたりを押さえてうずくまったまま立ち上がれなくなり、車椅子で裏手へ搬送された。
浅香山親方の負傷退場を受け、急遽間垣親方(元幕内・土佐豊)が審判を代行する措置が取られ幕下は取組を再開。ところが、今後は3勝2敗同士の対戦となった狼雅対竜勢の取組で、狼雅に寄り切られた拍子に土俵下に落下した竜勢が間垣親方と激突。大事には至らなかったものの、観客からはどよめきの声も挙がっていた。
相次いだ親方と力士の接触に、ネット上のファンは「180キロオーバーの天風に上から降られるのはやばいぞ」、「浅香山親方の怪我が深刻じゃなければいいが…」「審判席が近すぎる、もう少し離せばいいのに」、「高さ下げるとか余白広げるとか、土俵には何か手を加えた方がいいのかも」といった声が多数寄せられている。
「本場所の取組では正面に1名、向正面に2名、東西に1名ずつ審判が配置され、それぞれ土俵から1メートルほど離れたところに座って取組を判定しています。ただ、土俵から近いがゆえに審判を務める親方が力士と接触して負傷するケースは少なくなく、例えば昨年夏場所では二子山親方(元大関・雅山)が北勝富士に押し出された貴景勝と衝突し左足を負傷。また、2016年春場所では当時の井筒親方(元関脇・逆鉾)が、白鵬に投げ飛ばされた嘉風と激突して左足を骨折する重傷を負っています。こうした事故が起こるたびにファンからは対策を求める声が挙がっていますが、角界全体の議論にはなかなか結び付いていないのが現状です」(相撲ライター)
“右の股関節を痛めた”、“ぶつかった際に音がした”と説明し、都内の病院へ移動したと伝えられている浅香山親方。こうしたアクシデントを少しでも減らせるように、今後議論をしていく余地はあるのかもしれない。
文 / 柴田雅人