年俸が示す通り、レギュラーが期待されての契約ではなく、古巣の温情といってもいい再入団となった。本職の三塁には2000本安打を達成した大ベテランの宮本慎也内野手(42)がドンと座り、メジャーで経験した二塁にはベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得した田中浩康内野手(30)がいる。現状の岩村では、この2人からレギュラーを奪うことは至難のワザだ。
12月11日、入団会見に臨んだ岩村は「選手である以上、試合に出たいですし、レギュラーになりたい。あれだけの方(宮本)でも、挑戦していきたいと思います。まだ自分はその状況にはいないと思うので、同じスタートラインに立てるようにしたい」と三塁のレギュラー獲りを宣言した。
宮本は11月で42歳になったが、今年も堅実な守備は衰えを見せず、4年連続でゴールデングラブ賞を受賞。打撃でも、どの打順でも柔軟に対応し、勝負強さは健在。
ただ、宮本には疲労蓄積を考慮して、休養日が設けられるケースもある。また、来季からコーチ兼任となるため、出場機会が意図的に減らされる可能性もあり、岩村がつけ入るすきはありそうだ。だが、それも、あくまでも結果を残せればの話で、実力でポジションを奪う以外にない。
ヤクルト時代の04年には44本塁打をマークし、04〜06年は3年連続30本塁打、3割を成し遂げた岩村。07年にポスティングシステムでメジャーのレイズに移籍後、2年間はレギュラーでプレーしたが、09年に左ヒザを故障し歯車が狂った。
6年ぶりの日本復帰となった昨季はわずか77試合の出場で、打率は1割台、本塁打0。今季は二軍暮らしが長く、26試合出場にとどまり、67打数14安打1本塁打5打点、打率.209と不本意な成績で楽天から解雇された。
日本球界に復帰して以降、精彩を欠く岩村にとって、レギュラー獲りへの道は険しい。古巣でかつての輝きを、取り戻すことができるだろうか。
(落合一郎)