「俊輔頼みの代表には最終的にあれしかない」。日本代表関係者がそう口ぐちにつぶやいた。
W杯アジア3次予選オマーン戦の最終テストマッチとなるパラグアイ戦で中村俊輔が岡田ジャパンの一員として初出場。ケガの不安を抱えながらも先発フル出場を果たした日本の司令塔は、前半からサイドを起点に攻撃を組み立て、幾度となくチャンスメークした。
中央に切れ込んでミドル弾を放ったかと思えば、サイドからは闘莉王への絶妙なクロス。ゴールにこそ結びつかなかったが、十八番のフリーキックでも再三相手を脅かした。終わってみればドローながら俊輔ひとりが異彩を放ち、キリンカップ連覇を成し遂げたことで岡田監督は「俊輔は存在感があったと思います。彼がディフェンスもやってくれた」とベタ褒めだった。
俊輔効果に「プレーの精度とともに試合展開を読む力が非常に高い選手であることをあらためて思った」と上機嫌な指揮官だが、エースストライカー高原直泰の不調には「彼を見るのにいまは忍耐が必要。みなさんもそういう目で見てください」とかなり“ノン気”。
日本代表関係者が解説する。「俊輔が入ってサイドからの崩しで容易にチャンスメークができるようになったけど、FWのゴールは相変わらず遠い。でも最終的にはセットプレー、ないしはパワープレーがある。オマーン戦までの最終チェックはそこに時間を割くでしょうし、俊輔頼みのいまの代表には最終的にあれしかない」
それだけではない。そのためにDF闘莉王を空中戦に専念させることもあるという。「俊輔のセットプレーでキーになるのは闘莉王。彼を攻撃的MFないしはセカンドトップやFWで使うことも十分ある。岡田監督はエンゲルス監督(浦和レッズ)との秘密裏に会談してその話をしていたそうですから」(前出関係者)
JリーグでもDFながら日本人トップの決定力を誇る闘莉王のFWコンバートが現実味を帯びてきた岡田ジャパン。ホームでのオマーン戦は勝ち点3が至上命題だけに指揮官はこの最終秘策に打って出るかもしれない。