11月27日、プロ野球・オーナー会議が開かれ、次年度の議長はDeNAの南場智子オーナーが務めることが承認された。女性初のオーナーも球界では初めてだったが、会議を取り仕切る女性議長も南場氏が第一号となる。「女性が…」というのも古い発想なのかもしれないが、興味深いのはそれだけではない。同日、日本野球機構(NPB)の社員総会も行われた。そこで2019年9月期の決算報告もされたのだが、「8期連続黒字」となった要因は、ケータイ端末機などで遊ぶ“野球ゲーム”事業が好評だったためだ。
「来年はDeNAの本拠地である横浜スタジアムが野球・ソフトボールの五輪競技のメイン会場となります。球場施設に不備がないかどうか、DeNA球団は責任重大です。ゲーム事業の話がオーナー会議でも報告されましたが、理解できなかった出席者も少なくありませんでした。特に、セ・リーグは」(球界関係者)
IT関連の親会社も多いパ・リーグはともかく、セ・リーグはゲーム端末機のソフトの話をいきなりされても分からなかったようだ。しかも、決算報告では「eスポーツ」なる言葉も使われたそうだ。
また、こんな議案も出たそうだ。「競技者人口の減少」だ。観客動員数は伸びているだけに、競技者の減少は高校、中学などの野球組織とも話し合っていかなければならない。
「実際に体を使ってやる本当の野球競技者が減ったのは、ゲームの影響かも?」(前出・同)
同日、DeNAの将来を託された二軍指揮官が“アナログなコメント”も発していた。
「しっかりと土台をまず作ってから」
三浦大輔・二軍監督がラジオ局のイベントに出演し、その後、記者団からドラフト1位ルーキー、森敬斗内野手(桐蔭学園)の育成ビジョンについて聞かれ、そう答えたのだ。
もっとも、三浦二軍監督は「ボクの時代は出されたメニューを消化するだけだった。やらないといけないんだなって。でも、今の時代は、そうじゃダメだと思うし」と、時代の変化や今の若者の考え方にも理解を示していたが、二軍指揮官を務める来年は“手探りの連続”ともなりそうだ。
「三浦二軍監督は解説者時代、高校野球を視察するなどし、今の若者がどういう考え方をしているのかを探っていました。『根性論』が通用しないのは分かっていますが、自主的に練習する若手も少ない。どんな練習をすればいいのかを考えなければならないことは分かっているものの、結局、考えているうちに終わってしまう。二軍には鬼軍曹のようなコーチも必要です」(ベテラン記者)
“時代錯誤な練習”も必要な時があるようだ。グラウンドでは前時代的なこともやらなければならないが、オーナー会議ではeスポーツの話題も出た。対照的である。
「今季、DeNAはクライマックスシリーズに進出しましたが、途中、2ケタ連敗も喫しています。その間、ラミレス監督の進退問題も話し合われましたが、続投で決まったのは、適任と思われる後任がいなかったからです。三浦二軍監督がファームをしっかりまとめれば、経営陣は別の結論を出すでしょう」(前出・同)
人事を巡る様相だけは、いつの時代も変わらないようだ。(スポーツライター・飯山満)