3日の広島との延長戦を落とし、金本阪神は自力でのクライマックスシリーズ進出可能性も消滅してしまった。3位巨人、4位DeNA、5位中日が負けるのを待っていなければならない状況だが、阪神上層部は「金本知憲監督の続投」を基本路線としている。
「金本監督はプライドの高い人です。昨年オフ、新たに3年契約を交わしましたが、最下位の屈辱で辞表提出なんてことにならなければいいのですが…」(在阪記者)
そうならないためにも、フロントは来季の戦力補強案を金本監督に提示する必要があると感じているそうだ。
しかし、補強に関して編成スタッフの意見はまだまとまっていないという。
「ドラフトの位置づけが決まらないんですよ。即戦力中心の指名なのか、将来性重視なのか。今年は有望な高校球児が多い。夏の甲子園大会も盛り上がったので、人気面(営業)を考えれば、高校生中心の将来性で行くべき」(前出・同)
たしかに、「高校生の指名」を予想する球団OB、プロ野球解説者は少なくない。
「金本監督のことを考えれば、即戦力投手を補強すれば任期内に優勝できるかもしれません。でも、もっと長いスパンで考えると、阪神は野手を、それも将来性のある高校生野手を指名すべき。だって、鳥谷以外に生え抜きのレギュラー野手がいないのも同然なんだから」(プロ野球解説者)
後半戦の敗因は、故障者続出と投手陣のコマ不足だ。金本監督には気の毒だが、10年後のチームのことを考えれば、チームの中核になるような高校生野手を指名し、時間を掛けて育てるべきなのかもしれない。急浮上してきたのが、身体能力がバツグンの根尾昂内野手(大阪桐蔭)である。
「過去3年、金本監督は野手を1位指名し、昨年も清宮を指名しようとしました。金本監督はチームの中核となる野手がほしいとし、優勝に飢えていたフロントは即戦力投手の指名を訴えていました。これまではフロントが折れるかたちで1位指名が決まっていました」(前出・在阪記者)
今オフは主張が間逆になった。金本監督は投手不足の解消を訴え、フロントは中・長期スパンでのチーム作りを検討しているそうだ。最下位に沈めばもちろんだが、このままCS進出を逃せば、ドラフト指名もフロント主導になるという。
「フロントにも『悪い傾向』が見られます。阪神は1位指名の重複を嫌う傾向があり、重複しない選手を選ぼうとし、他球団が3位以下で指名しようとする選手が1位に繰り上がっていた時期もありました。そういう過去のツケが金本政権で爆発したとも言えます」(プロ野球解説者)
金本監督がどう説得するかも見物だが、こんな声も聞かれた。
「将来のメジャーリーグ挑戦を視野に入れている球児も珍しくありません。その影響で12球団OKのドラフト候補も増えましたが、指導者のなかには『今の阪神はちょっと…』と言葉を濁す者も少なくありません。藤浪晋太郎投手の不振、頭角を現した若手が2年続けて活躍できないこと。教え子を預けても大丈夫なのかと心配する声も聞かれます」(アマチュア球界要人)
ドラフト候補の見直しだけでは、チーム再建はできない。金本監督にはドラフト候補の希望を伝える前に着手すべき課題もあるようだ。(スポーツライター・飯山満)