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甲子園がキライ?敵地長期ロードでトラが息を吹き返す

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 金本阪神が宿敵・巨人に勝ち越した。勝ち越し打となったベテラン糸井の特大アーチに、東京ドームの観客もどよめき、試合後の金本知憲監督(50)もそのパワーを称賛していた。
「本拠地の甲子園では巨人に苦戦していますが、敵地での3連戦を勝ち越し、やり返したんですから、金本監督も上機嫌でした」(スポーツ紙記者)
 甲子園球場を高校生に明け渡している時期であり、阪神の遠征はまだまだ続く。チームを勢いづけるためにも一つでも多く勝っておきたいところだが、こんな指摘も聞かれた。今の阪神は広い甲子園球場に適したチームではない、と…。

 今さらだが、甲子園球場は広い。両翼95メートル、中堅118メートル、左右中間118メートル、しかも、右から左方向に強い浜風が吹いてしおり、右バッターの左翼方向への本塁打は出にくい。左バッターにしても、そうだ。フルスイングして右翼ポール際に飛んだ打球も深い右中間方向に流され、フェンスを越えられないという。
 また、内野フィールドが土で、外野が天然芝なので、人工芝球場のようにゴロの打球が加速して行かない。内野手の間を抜けるヒットも出にくい。つまり、甲子園は得点の入りにくい球場なのだ。
 近年、土と天然芝が阪神野手を泣かせていた。92試合を消化した時点での失策数(エラー)は、62。このペースでいけば、 「シーズン100失策」の恥ずかしい記録ができてしまう。この失策数は12球団ワーストだ。金本監督が就任してからの失策数だが、2016年が97、昨季も82で「2年連続リーグワースト」だった。秋季キャンプで守備練習に長い時間を割いてきた。しかし、前監督が最後に指揮を執った2015年の失策数は77。リーグワーストではなかった。
「金本体制になって、ミスが目立つようになったとの声も聞かれます。甲子園は土のグラウンドなので守備力が問われます」(前出・スポーツ紙記者)

 経験値の少ない若手に切り換えたため、失策数が増えるのも致し方ないことかもしれないが、その責任は金本監督だけではなく、全首脳陣にあるようだ。
 関西地区で活動しているプロ野球解説者がこう言う。
「阪神の守備練習は気が緩んでいます。逆シングルで捕球している選手も少なくない。土のグラウンドなんだから、体の正面で捕れるところまで走らせ、打球に追いつくんだという意識を浸透させないとダメ」
 練習の目的を説明しないコーチ、楽をしようとする選手を叱らない現状が問題なのだという。

 ホームゲームは20勝27敗1分け、ロードは23勝21敗。“土のグラウンド”での勝率が悪いのはそのせいだろう。本拠地で勝てないチームが首位戦線に浮上することはまずあり得ない。
「今オフ、阪神が大型補強に乗り出すとの情報も飛び交っています。国内FA権を取得した好選手も多いので当然でしょう」(前出・同)
 そうなると、若手の出場機会が減る。阪神二軍は55勝31敗でウエスタンリーグ首位を快走中だ。本塁打65、チーム防御率2・84、セーブ29はリーグトップ。しかも、盗塁数は134個と驚異的な数値を記録している。トラの若手の大半は一軍で結果を残せず、二軍再調整を命じられたが、投打ともに奮闘しており、「2、3年後にはなんとかなるのではないか?」と期待が持てるのだが…。
 高校球児に甲子園を明け渡した8月、トラが息を吹き返すとすれば、皮肉な話でもある。(スポーツライター・飯山満)

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