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自力V消滅の金本監督が陥った「日大化」

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 金本阪神は単独最下位に転落したのと同時に、自力優勝の可能性が消滅した(8月1日時点)。その敗れた相手の中日の先発投手は、松坂大輔(37)だった。公式戦での登板は背中の痛みを訴えた6月17日以来で、5回を投げ、6四死球は大荒れだった。決して本調子ではない松坂を打ち崩せなかった敗因は、球団内部にあったようだ。
 プロ野球解説者がこう言う。
「興味深いのは5回裏の中日の攻撃です。この回の先頭バッターは、松坂。5イニングを投げ、本人はもちろん、球場全体が、代打が送られると思っていました。ところが、松坂は打席に立ち、しかも、森監督は次の6回表に『投手交代』を告げています。試合後、森監督は代打を使わなかったことを質問され、ファンサービスみたいな話をしていました」

 松坂は打撃力も高い投手だが、この時点での点差は「2」。2点差でのリードとなれば、代打を送り、走者を出して1番バッターへという流れをイメージするもので、ファンサービスなんて余裕はなかったはずだ。
 金本知憲監督(50)は、ナメられたというわけか…。
「負けが込んでいるせいか、阪神ナインはビクビクしているように見受けられます。結果を出そうと必死になるあまり、『余裕』がないというか…」(在阪記者)
 余裕。阪神と中日のベンチは対照的だった。

 同日の試合後もそうだが、阪神選手は記者団にいつも下を向いて歩いている。試合中にしても、そうだ。劣勢での金本監督は“独特の雰囲気”を醸し出す。威圧感があり、ハッキリ言って、コワイ。選手も金本監督のほうをチラッと見て、萎縮しているという。
「若手の育成を掲げていましたが、その若手がプレーに専念できていない原因が指揮官にあるとすれば、経営陣も考えなければなりません」(前出・在阪記者)
 フロントは不振のロサリオの穴を埋めるため、ナバーロを緊急獲得した。7月末のトレード期日直前にも左のリリーフ投手を補強した。「金本体制をサポートしている」とも解釈できるが、坂井信也オーナーは4月に二軍戦を抜き打ちで視察し、さらに6月17日にも二軍球場に足を運んでいる。こうしたグループ要人の動向から、「矢野二軍監督の昇格」を予想する声は多く聞かれるが、こんな指摘もある。

「後半戦での巻き返しに成功したら、また状況は変わってきます。故障者が続出したことも戦況に影響しています。若手の陽川に4番を任せた試合もいくつかあるように、もうしばらく様子を見ようという動きもあるんです。経営陣はすでに監督続投の合否ラインを決めているのではないか」(球界関係者)
 その陽川がシーズン終了時点まで奮闘すれば、野手陣の育成に関しては「合格」と決めているようだ。投手陣だが、阪神は若手投手が何人も頭角を現している。しかし、それはスカウト陣の手腕であって、金本監督のお手柄ではない。
「藤浪が復調すれば、投打ともに若手育成が進んでいると判断するようです」(前出・同)
 だが、藤浪の不振はメンタル面との指摘が絶えない。二軍戦では好投しているものの、一軍マウンドで結果を出せなければ即降格という状況は変わらず、これが藤浪を常にマイナス思考にさせているというのだ。

「指導者が怖くて…」の現状は、日本大学のアメフト部の問題に酷似する。虎ベンチの日大化を止めるためにも、金本監督は若手がもっとも活躍できる状況を考え、自身の目指す野球スタイルをもう一度説明する必要がありそうだ。(スポーツライター・飯山満)

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