「試合開始前から天候のことは分かっていました。回復の見込みもないと知らされており、強行に試合を始めました。1時間28分も中断させたところからも分かるように、阪神側は是が非でも試合を消化させておきたかったんです」(球界関係者)
勝敗の行方はともかく、同日のゲームを成立させたかったのは間違いないようだ。
これで、雨天中止は今季18度目。終盤戦の「超・強行スケジュール」は避けられなくなってしまった。
NPBは終盤戦の日程調整を進めていた。屋根のない甲子園球場を本拠地とする阪神は「雨天中止」が例年以上に多く、ダブルヘッダーの可能性も示唆されていた。当初、NPBが再編した終盤戦の日程では9月19日から10月8日までの20日間に19試合を消化する予定になっていた。だが、9日巨人戦が降雨ノーゲームとなったため、その間の唯一の休養日となっていた9月25日に、9日の中止試合の巨人戦が組み入れられた。先に23、24日に巨人戦が予定されていて、25日は「予備日」という扱いだったが、これで、20連戦のハードスケジュールが決まった。
「小野、青柳の若手をテストしましたが、両投手とも結果を出せませんでした。20連戦で投手陣は崩壊でしょう」(在阪記者)
通常、現場が困っているときは球団OBがアドバイスをするものだが、今の阪神にはそれが見られないという。
「公式の場では黙っていますが、生え抜きの阪神OBは金本体制に批判的です」(球界関係者)
チームが低迷しているからではない。今の阪神は“外様カラー”に染まっているからだ。金本監督、コーチ陣をまとめる片岡ヘッド兼打撃コーチは他球団でプロ野球人生をスタートさせた。先発ローテーションの主軸が外国人選手のメッセンジャー、打線の中核は福留、糸井…。生え抜きの阪神選手が主役になれないチームである。
「実は、阪神フロントは新しい打撃コーチを探しているんです。右バッターを教えられるコーチを求めているんですが、有力OBは消極的です。金本体制は長くないと見ているからかもしれません」(前出・同)
また、こうしたゴタゴタはドラフト戦線にも影響している。他球団は名前こそ明かしていないが、1位候補は数人に絞り込んでおり、調査も最終段階に進んだが、阪神はまとまっていない。フロントは即戦力の先発投手の補強を急務としているが、右投手なのか、左投手なのかも決まっていない。有望な高校球児の甲子園での活躍を受け、いくつかの球団は将来性に切り換えたが、阪神は何も決まっていない。
「表向きは隠密行動を続け、他球団に手の内を読まれないためとしていますが、即戦力投手の補強論を推すフロントに対し、金本監督が反対しているとかで…。まとめ役がいないということはフロントと現場がもめているのかもしれません」(前出・在阪記者)
20連戦では救援投手の酷使も避けられないだろう。ボロボロに痛めつけられた金本阪神は、オフも休息が取れそうにない。(スポーツライター・飯山満)