碑文には「櫻並木 百本 昭和三十九年三月」とある。今年43歳になった桜は大木に生長し、その大ぶりな枝を散歩コースに伸ばしていた。ところどころ、くぐり抜けるか、かかんで歩かなければならない。枝に黄色と黒のシマ模様のビニールテープが巻かれており、散歩人に注意をうながす。テープに破れた跡があるのは、いたずらか激突の証か。想像しただけでおでこが痛くなってくる。
散歩コース中、最も紀尾井町寄りにある“虎模様の枝”を例にとってみると、ぶっとい枝は土手の外まで伸びきっており、一番低いところは150cm足らず、高いところでも170cmと完全に進路をふさいでいる。花見の季節には、頭上すぐに満開の桜が咲き誇ることだろう。
土手外側の谷底には、この桜並木と外堀通りに挟まれるかたちで、上智大グラウンドがある。野球、サッカー、テニス…。「バッチこーい!」と野球部員の声が響き渡る。桜並木ベンチから練習風景を眺めているサラリーマンらが何人かいた。ちょっとした休憩スポットになっているようだ。
しかし、偶然だろうか、グラウンドには男子生徒の姿しか見えない。テニスギャルはなぜいないのか?そんなヨコシマなことを考えてグラウンドを眺めながら歩くと、桜の枝にゴッツン。天罰が下る可能性がある。あくまで清らかな気持ちで散歩しよう。