横綱朝青龍の騒動もモンゴル帰国で一応沈静化した感じだが、朝青龍がペナルティーを“無事”にこなした場合、すんなり来年1月の初場所から元のサヤに収まって一件落着となるのか。その後の朝青龍ストーリーに変化はないのか。いまだ高砂親方(元大関朝潮)なりを通じてでも横綱がいま何を考えているかの片鱗さえ見えてこないのはなぜか。「記者会見をやらねばならない」と聞いてきた(高砂親方)では話にならない。
ここにきて離婚問題まで浮上してきては、横綱自身の心の整理はつくはずもなく、ますます乱れていくだろう。ズバリ言えば、もう相撲界に復帰しても“あの朝青龍”を望むのは無理であり、本人も限界を悟らざるを得ないところに追い込まれているのは事実だ。
では日本の格闘技界がすぐにでも手を挙げるか。これでは事のてん末を見極めるまでは静観せざるを得ないし、事前の水面下交渉もあり得ないだろう。もし横綱の心のスキを突くとすれば、そのウルトラ大逆転は日本でがなく米国である。米国の格闘技界はWWEに代表されるプロレス以外にもUFCという金持ち企業もいる。
が、ここでも最も先に動く可能性があるとすれば、WWEのビンス・マクマホーン氏ではないか。
最近のWWEは一時の勢いはなく話題性に欠ける部分は否めない。これまでにもボクシングのマイク・タイソン、バスケットボールのマイケル・ジョーダンなど他分野のスター選手に手を出したが、これといった成果はあげられていない。そんなところに国際的話題にも発展した朝青龍騒動がぼっ発した。
策士であるビンス・マクマホーンがこのチャンスに指をくわえているはずはない。現役のスモウ・チャンピオン、しかもそのダーティー・イメージは格好の“獲物”で、ストーリーをつくるには事欠かないし、最終的な狙いを日本逆上陸に置けば、十分メリットのある話でもある。最近、日本興行では低迷しているWWEだけに、起死回生、再侵攻の切り札にも計算できる。
日本で何だかんだと騒いでいる間に、豊富な財力にモノをいわせ巨額のドル紙幣が朝青龍の周辺に乱れ飛ぶことは十分に考えられる。スキャンダル・ストーリーの結末は意外な展開に発展していく可能性は十二分にある。