−−ファイターとしてのクロン選手は、どう評価していますか?
ヒクソン「私の子どもなので、小さいときからの成長もありますが、アスリートとしての成長、肉体的にも精神的にも、向上してきていることは、非常に誇りです。諦めない精神というのは、産まれたときからすでに、持っていたと思います」
−−ご自身が25歳のときと、現在25歳のクロン選手を比べると、違いはありますか?
ヒクソン「私が父(エリオ・グレイシー)から受け継ぎ、良くした技術を、彼には教えてあげている。そのスタートは、有利だと思います。私よりも肉体的にも体力的にも、優れているのではないでしょうか。練習も、私の25歳のときよりやっているのじゃないかと。私が25歳のときはもう、結婚をして、子どももいたので、男としては彼よりマセてたと思いますが、それ以外はよく似てる気がします」
−−日本がとてもお好きだそうで…。
ヒクソン「初めて来たのは、もう成人してからですが、初めて来たときから、私はここで産まれたんじゃないかというぐらい、親近感があります。食べ物、文化、宗教のすべてに縁があると、つねに思っています。格闘技は、武士道の精神から成り立ってるものですが、その武士道は日本から生まれたものなので、間接的ではありますが、武士道にのっとったしつけをされてきたので、縁があるのかなぁと」
−−その日本では今、格闘技が支持されていると言いがたい状況にあります。
ヒクソン「スポーツ性が表に出すぎて、武士道の精神がなくなってきたというのが、ひとつの原因だと思います。日本人は、試合を観てただおもしろいだけじゃなくて、その裏にある選手たちの精神性や生き方も含めて見ている。スター性がある人が少なくなったのかなぁと、私は思います」
−−人気復興のために、ヒクソンさんがもう1度、ファイターとしてリングに上がるのはいかがでしょう?
ヒクソン「選手としては引退してますので、私が出ない。ただし、私が今まで積み上げた経験などを引き渡す場があれば、どんどん出していきます。サポート側に回って」
クロン「仕事は私がしますんで、父には海に行ってもらって、遊んでもらいたい(笑)」
ヒクソン「日本では、長野で蕎麦を食べて、沖縄の海に行きたいって、いつも言ってるからね(笑)」
写真:アミーゴ・タケ